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朝顔    

 

消えぬまの色をあはれと見る人も
花もはかなき朝顔の花
藤原俊成女
 

 朝がほや一輪深き淵のいろ
与謝 蕪村

 

朝顔に涼しく食ふやひとり飯
小林 一茶

 

朝顔に釣瓶とられてもらひ水
加賀千代女

 

今の朝顔は平安時代に中国から渡来したもので、万葉の朝顔は桔梗であるとされる。俳諧では、

万葉以来の伝統に従って、秋の季語としている

 

 

あ さ が お
Pharbitis Nil Choisy   (ひるがお科)

アジアの原産で.最も普通に栽培される一年草である.茎はつる性で逆毛があり,左巻きで他物にまつわり,長さ3m以上になる.葉は互生し長い柄があり,普通は3裂し葉面には毛がある.夏,葉腋に大形の美しい花を開き,早朝に咲き午前中にしぼむので朝顔という,花は一カ所に1~3個つける.がくは深く5裂し,裂片は細長くとがり,背面に白色の長毛がある,花冠は漏斗状で径10~15cm,大きなものは径23cmにもなう,青紫色,白色,紅色,ふちどりのあるものなど数多い.つぼみは筆頭状で右巻きのひだがもる.雄しべは5本,雌しべは1本.果実はさく果で残存がくをつけ,球形で3室おり,各室に種子が2個ずつ入っている.種子は薬用とし牽牛子という.観賞品として広く栽培され,葉や花に多くの変化改良が加えられている.
アメサカ原産のものはPharbitis Nil Choisyである.
〔漢名〕牽牛子,牽牛花車という.    -牧野植物図鑑-




 

 江戸時代の園芸技術は高度で温室栽培もされていた。突如、吉原に満開の桜並木が出現したかと思うと十日後には消えているとか、真冬にナスやキュウリを育てる技術も持っていた。菊の品評会も頻繁に開かれた。その中で庶民の園芸の代表格が朝顔である。盛んに品種改良がなされ、今の品種の三倍、2000種もあって、明治以降西洋化とともにブームが廃れた。と江戸園芸の本に書いてあった。
 夏休みの朝目が覚めると祖母は台所で朝食を作っている。姉たちも弟もまだ寝ているらしい。母もいないが朝仕事にいっているらしい。祖母に使いに隣の部落まで買い物行くように言われた。動きたくないのでぐずぐずしていると怒られた。しぶしぶ自転車に乗り薄靄の立ちこめる砂利道をペダルにこぎだした。家々の庭先には紫や赤の朝顔がビーンと花弁を広げている。汗がうっすらと出てきた。そうだ夏休みの押し花の宿題があったっけ、朝顔にしようと決めた。  (守)

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