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冬瓜



 

 瓜科の一年生つる草。夏,黄色い花を咲かせ実を結ぶ。 

体長30〜45cm・体重3〜5kg――濃緑色のラグビーボール形の実である。

皮厚、かぼちゃ大の種あり、廃棄率50%、かなりグロテスクな形の野菜である。

こいつの皮を厚くむくと、真っ白な果肉があらわれる。種わたを取る。その瓜状の果肉を3〜4cm角に切って、鍋に入れる。

中華味スープをひたひたにいれて、ここに(ちょっと贅沢だけど)ホタテ缶を汁ごといれる。

コトコト15分も煮ていると、すっかり柔らかくなっているから、少量の塩&醤油で味を整え、片栗粉で薄くとろみをつける。これで「冬瓜の中華風含め煮」の出来あがりぃ!。

ホタル焼きの小鉢に盛り、レンゲでスープごといただく――

 うう…絶品!!

舌にとろけるような食感、さらっと咽喉元をすぎていくホタテの香り――なんといううまさだろう!ビールにも冷酒にもあう! ダイエットにもいい!!

 

 「冬瓜」自体は何の味も、主張ももたない、きわめて淡白なやつだ。誰にでもあわせられる器用なやつとも言う…。この素直さが、しし座の私にはきわめて心地よいのかもしれない(?)

 

 昔から 夏の精進料理の定番として使われてきたという。

基本の出汁が大切である。ちょっと濃いめのほうがいい。和風でも洋風でも中華風でも出汁は濃いめがいい。でも,味付けの塩分は控えめが上品である。

そして,相方の具材は単品でいい。例えば「鶏ひき」、例えば「ベーコン」、例えば「ホタテ缶」――こ奴は、ちゃんと自分の役目を自覚していて、相方の味を立てながら総合的に自分も美味くなるプロセスを知っているのだ。

その証拠に、料理おんちの我が娘がつくっても、ちゃんとうまくできあがる…?!。

 グロテスクな形に惑わされてはいけない。「冬瓜」は男と同じで、見た目より性格なのだ。食べてみなくちゃわからない…?

 

 「冬瓜」――真夏の野菜なのに「冬」の字がつくのは、火照った身体の熱をさましてくれる効能があるからとか…。「私のひと夏の恋の熱も、さましておくれ…」なんてバカを つぶやきながらよく「冬瓜」をコトコトした今夏であった。

 菅野 幸江



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