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道中日記 5

4月20日

朝6:30、磯浜、兼澤宅。直(ちょく)さんの紹介で駐車させてもらう。アパートの1・2階を借りている由。2階では妻女ベラ風邪にて臥す由。朝食ふるまわる。元遠洋漁業の船乗り。兼やん。襖に大々と“晴航雨呑吐”囲炉裏のような角火鉢。インディアン・カヌー。窓から下りればそこが浜。そこで数日後知人の結婚式を挙げるとか。自身もここで式を挙げ、200人集まった由。

8:45、フェリー出航。“二等登山客室”なるところに陣取る。隣は霊安室(定員は3名)。向いは台湾人団体客。後からイギリス人青年。一睡。めざめて山崎とふたり風呂を使う。無人なり。湯の揺れ遊園地めく。

午後1:00、屋久島宮ノ浦港着。直さん、ケンジ(諏訪瀬島から)、ナカジが出迎え。 ナカジ水を得た魚のように溌溂。車で海沿いの路。日差し、風、すがし。一湊あたりの浜、浄らか。途々川中に家数軒ぶんもあるような巨石がころがる。雨後増水のおりなど巨石の揺り動く音が聞えるという。白川村、直さん宅到着。路から降(くだ)って小橋を渡ると母屋。さらに下手に別棟(直さん手造りの由)、ここに三人泊めてもらうとて荷物を置き、母屋にて一服。別棟のすぐ向うは川で、水に面した崖の端に大きな山棟蛇(やまかがし)蟠居す。豊かな緑蔭と水音に恵まる。奥さん。娘ミホ。直さんに救急士の資格免状とどく。死亡事故増えている由。おもてに犬数ひき、みな放し飼い。ふたたび車で宮ノ浦港近く、“かぼちゃ家”、山尾三省の弟の店。

午後3時まで。売りきり閉店。繁盛の由。手塚夫妻(武藤の先輩)、フィル・ミントン、 豊住芳三郎と合流。鹿児島ラーメンを食べる。旨い。店のおごりの由、忝し。町長選挙近し。土建屋と反対派の一騎討ち。

5:00、ほど近い屋久島環境文化村センター。コンサート準備。20m×14mの大スクリーン。250席。立派なホール。ステージに花を飾る。挿したバケツにタオルを巻いてい る。遠目に焼物めいて見ゆ。古津花を何度も摘んできては活けかたに凝る。コンサートは無料、カンパ制。老若男女200人ほどの大盛況。ホール集客記録とか。

7:30開演。2セットの予定が急遽1セット1時間(ためにVTR痛恨の2分切れ)、切れめなしの熱演。最前列に座る。豊住の演奏、プロとしての意地と責 任感に溢る。豊住“八木くんがいると屋久島じゃないみたいだ”

10:00、白川村やまびこ館(集会所)にて打ち上げ。ビール、焼酎、竹の子、陣笠(貝)、 鰺、烏賊。闇夜は安心して揚がってくるのでよく漁れる由。昨年はここでコンサート(豊住・榎田デュオ)、雷雨のなか70人集まり、何事かと警官が様子を見にきた由。今夜の芳名録を見せてもらう。鹿児島、熊本、滋賀、北海道上川郡美瑛。あとからあとから人来る、テーブルを増やす。大賑わい。同船のイギリス人青年の姿も見える。

頭痛を得て午前1:50、戻って就床、すぐ眠る。

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