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道中日記 2

4月17日

朝の関門海峡うつくし。古津なぜ起してくれなかったかと後で悔しがる。

7:30、バス停宇美にてナカジ降ろす。屋久島にて落ち合う約束。好 天。以下三人、九州路を往く。風快く、陽の光を跳ねかえす地のちから緑のちから激し。真夏さながら。海峡の渦潮を橋たかく俯瞰。舟。若布採るひと。水ほとりまで下りる。流れ澄みとおって急。小径に筆りんどう。昨年11月に出来たという橋を渡って、午後1時、山崎の生れ故郷、崎戸着。炭鉱記念公園にて昼食。小高く崎戸を一望す。海風吹きぬける。かつて炭鉱で栄えた島。往時は人口3万。今はほそぼそと製塩。数々の廃墟あつく緑に蔽わる。御床(みどこ)島の灯 台。釣り客多し。民宿椿の宿あいにくお休み。二年前来た折も休みだった由。山崎役場に所用のあいだ、古津と千畳敷の磯だまりに遊ぶ。小動物の宝庫、ミクロコスモス。 飽かず覗き込む。引き潮、アオサいちめん苔庭の如し。岩盤奇景興趣尽し難し。

4:30、国民宿舎着。209号室。廊下いちばん奥。さっそく夕日を見ながらラジウム温泉。金色の光に包まれて言葉もなし。湯上がりに海へ没む夕日の写真。日暮れて涼し。夕食。食堂の庭先に12ひきの狸ぞろぞろと現わる。夜の海上に烏賊釣り舟の灯。精霊(しょうりょう)のごとく静かに揺れる。

11:00就眠。

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