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道中日記 1

4月16日

昼、無形の家。正午頃山崎来る約束。長野修平・深雪夫妻来る。昨日アラスカから帰った由。オーロラと言えばゆったりとカーテンのそよぐが如きと思いきや、その動き急なもの、めまぐるしく駆けぬけるものの方が多いとか。千変万化のさま眼に浮ぶ。夜天壮大。今頃がいちばん気候の安定している時期だそう。

午後1時、森よりTel。急用にて行けず。

2:30頃山崎来る。森、ナカ ジの友人どたキャンにより、6人の予定が4人。出発。山崎、この旅行のため一週間酒を控えようと思った途端、毎晩のようにひとが来て連夜やむなく酒、昨夜は2時までの由。上野原の古津宅。小雨降る。私は初めて。猫に紙製の軛。手術痕を破ろうとするのでとか。バナナ食べ食べおむすび、弁当の仕度。太(たいち)の絵。トイレの壁にちらし多数。吉沢元治。庭に桃の花匂やか。ナカジ宅。魚を焼いている。酒と豆があれば生きていける人だという。紫式部咲く。

5:30、予定を大幅に遅れて出発。車に揺られてまもなくまどろむ。SAにて小用休憩。雨霽(あが)る。駐車場で母からの留守番電話を聞く。祖父の右脚利かなくなった由。古津運転。乱蘭通信前号の小文、川瀬曰く間章。古津曰く意外な見通しが利いてほっとする由。以前山崎へ出した私の手紙を読んで過程ということをしっかり考えていると感じたとか。貴重な御意見忝し。絵の話。女は色彩に秀で、男は線と構図。駒ヶ岳、月に白し。

山崎運転。車内ビル・エヴァンス。ジャズの話。マル・ウォルドロン。モンク。エリントン。コルトレーン。ガトー・バルビエ リ。ぴんから兄弟。深夜高速を一途に往くのは時間の感覚がぶれるもの。地球の自転に逆らっているような宙吊りの感じ。明け方とろとろする。

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