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散歩は小さなアヴァンチュール
 
 
 小学校の帰り道、いつもと違った路地を曲がったら、不思議な街並に出た。
違った方向から見た街は、異次元にの魔法にかけられた街に見えた。
僕は不安が全身を覆い、引き帰らざるをえなかった。



 人生で一番怖いのは「全てが分かってしまった」時である。
正確には、そう思い込んでその考えから離れられなくなった時である。
勿論そんなことはけしてなく、物事に興味を失ってしまったということである。
自分の求めていたものが満配となり、
               心は新たなものを求めているということである。

 僕はそんな風に感じられ、何度か立ち止まらざるを得なかった。
新たな世界に飛び出さなくてはならないが、出口はなかなか見付からない。
何年も何年も、絶望の淵を彷徨い続けたこともある。

 そんな時、僕はひたすら歩いてきた。
小さな発見が僕を前向きにさせて、少しずつ次の冒険の心の準備をが出来た。
青春時代の深夜の彷徨も、労務者時代の散歩も。



 感動がなければ人は生きられない。
感動出来なければ、己の身を外に置く他ない。
草木の成長や街の風景の変化への驚きは、ささやかなカンフル剤である。

 街角を一つ曲がれば、そこはワンダーランド。
不思議な光景が広がっている。
そんなの子供の頃だけでと、決め付けてはいけない。
気持ちが無垢になれたら、それは何時でも起こる。
 
2010/4/30 Mamoru Muto

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