思い出すまま - No196 /  prev top next

 縄文時代
 一万五千年前から一万年以上続いた、縄文時代は世界的見て特異な文明です。
 例えば竪穴式住居!作りは簡単ですが、牢固で台風や地震に耐えます。夏は涼しく、冬は暖かい。難点は、窓が取りにくいという点ぐらいです。それ故に、平安時代まで使われていました。日本式住居はこの竪穴式住居の屋根を持ち上げ、壁を作り所々に窓を作った構造になっています。欠点だった明かりを取る構造です。
 
 世界的には氷河期以降の温暖な時代を新石器時代と言います。前半は採取狩猟を基本とした移動生活です。後半は農業革命と、定住世界です。縄文時代が特殊なのは、採取狩猟生活にかかわらず、定住生活をしていたことです。日本の風土はそれだけ自然から得られる産品が、豊富だったからです。だから日本の場合はこの時代を縄文時代と別な名称がついたのです。
 
 縄文土器は、移動生活には不適切です。素焼きの土器は壊れやすいからです。世界的には土器は農業が始まり、定住生活に入ってから作られています。
 土器は、縄文人の食生活を大幅に豊かにしました。煮るという調理方導入できたからです。自然食材は、固く、苦味を持ち、毒を持ちます。煮る事により、それらを緩和して食べることができたからです。
 
 南北に長い日本列島には、北、大陸、南から様々な民族がやってきました。それらが融合して、日本人の原型が生まれたのです。北海道から沖縄まで、様々な多様な人々が生活していたのです。
 縄文中期には初歩的な農業も始まっています。水田とか本格的農業が大陸より遅れたのは、豊かな自然があったからです。弥生時代になっても、最も食べられていたのはドングリです。お米は特別なものだったのです。
 
 日本人の自然観は縄文時代から受け継がれたものです。縄文の山神や森の神は、弥生時代になると田の神に変身するのです。山や森の豊かさを里の農業の豊かさに拡大するわけです。そこに何の違和感もありません。更に都市が生まれれば、商売繁殖の神様になるのです。
 
 定住ということ
 縄文時代が面白いのは、採取生活にも関わらず、定住していたたいた事で!移動生活では、移動に持ち運べるのは限られています。石器にしても、一個で何種類の作業ができるものが尊ばれ事になります。
 定住生活は、技術や文化の蓄積が可能となる訳です。日本の自然との共存生活は、縄文時代に作られたものと思われ。南北に長く、海、川、森林、山と多様な自然環境に同化した、様々な文化が栄え、融合したわけです。
 多様性を求める文化も縄文時代にその基礎が作られたのでしょう。
 
 
 中国経済の破綻
 中国はこれから経済の低迷へと方向転換したと思われます。好景気はもう終わったと思われます。昨年の中国経済の最大の事件は、不動産会社「恒大集団」の破綻です。30兆円を超える負債の整理が現在行われています。しかしこれは氷山の一角です。中国の構造的なバブル体質の経済は終わったと思われます。
 恒大は新たな土地開発をする事により多くの資金を集め、その資金を元に、多角的な経営を展開してきました。しかし現在、習近平が「住宅は住むためのもの、投機のためのものではない。」というごとく、必要な土地開発以上のものを作ってしまい、新たな開発の不必要性となってしまったのです。
 恒大は民間企業です。氷山の一角というのは、地方政府が抱える投資会社、不動産会社が、これから恒大と同じ道を歩まざるを得ないと言うことです。しかもこれらの国営企業の方がより深刻な問題を孕んでいるのです。
 
 中国は社会主義国です。土地の所有権は国家にあり、地方政府が管轄しています。不動産開発はその土地の売却利益として、地方政府に膨大な資金を提供してきたのです。更に、地方政府は帳簿上は地方政府の財政と分離して、独立の組織にしていますが、実際は地方政府が管轄する国営の投資会社、不動産会社をなのです。もはや新たな不動産が売れない。過剰であるということは、それらの投資会社、不動産会社が、恒大と同じく膨大な借金を抱えることになるということです。時間が経てばそれらが顕在化してくるものと思われます。
 リーマンショック後、中国政府は大規模な土地開発により、いち早く不景気から脱出しました。その時、中央政府が財政支出したのではなく、地方政府に分担して財政支出したのです。地方政府は「融資平台」なる民間投資会社、実質は国営企業、を設立し、そこが借金をする形で、不動産投資をし、新たに地方政府が不動産会社を設立して、土地開発をしたのです。時が経つとともに恒大の次は、国営企業が破綻すると思われます。経済が低迷するから不動産が売れ残り、新たな負債を生むという、負のサイクルが始まったのです。
 
 現在中国の総負債額が2京2000兆円(2021末時点)あると言われています。政府と民間も含めた総負債ですが、その大半は地方政府の不動産に関する負債です。時間が経つ毎に、地方政府の負担が表面化して問題を引き起こす事になると思います。日本のバブル崩壊とは桁違いのバブル崩壊が始まったということです。更にそこに米中対立が色濃く横たわっています。
 
 4、5年前「日本の轍は踏まない。我々は日本のバブ崩壊は研究している」と中国の経済担当は自信を隠しませんでした。経済が低迷すればミニバブルを起こし、経済経済全体が落ち込むことを防い出来ました。その間に不動産からIT関連企業に、経済の主軸を移して、不動産熱を覚まして、経済の構造改革を狙うはずだったのですが、それは失敗したと言うことでしょう。
 米中対立は、そこに大きな壁として立ちはだかったのも理由の一つです。経済の主軸の移動による、不動産負債の解消などの計算は、立ちゆかなくなりました。IT産業の世界支配をアメリカは大きな危機感を持ったのです。さして現在、貿易摩擦から政治的対立へと事態はエスカレートして行きました。新疆、香港、台湾問題へと拡大し続けています。
 更に、コロナ禍は中国経済の世界拡大を止める働きをとました。中国の印象を一気に悪化させたのです。そうなると中国は外に向かう事から内向きへと変化しました。古い共産党イデオロギーの復活。IT関連企業や富裕層への風当たり。庶民の支持を得る為の、共同富裕なる概念。等々です。
 
 拡大を止めた中国経済は、残ってしまった不動産業の膨大な借金を抱えることとなったのです。
 自由経済を理解出来ない指導者。共産党一党支配の時代遅れの政治体質。もはや中国は没落の方向へ、舵を切ってしまったという事でしょう。恐らく。
 
絵・ちえ
 共同富裕
 昨年、新たな時代、先富論から格差の少ないともに豊かな社会を目標にすると宣言しました。国民受けの言い新たなウソの始まり揶揄されたりしています。鄧小平が掲げた先富論で、本来平等を本義とする社会主義国が、世界一の格差社会になってしまいました。格差を是正しながら経済成長をするのが、常識的な社会発展です。それをしてこなかったのです。突然共同富裕といわれても、誰も信じることなど出来ません。
 
 中国の経済格差はだいたい次のような構成です。
 1 1%の人口30%の富を所有する富裕層。企業を興して成功した人々です。有力政治家と結びついています。
 2 1割の共産党員です。不動産会社に投資したり、複数の不動産を所有できる人々です。
 3 都市住民。比較的裕福な人々。
 4 六億人の月15000円程度で生活している貧困層です。都市の下層民と多くは地方に住み、農工民として都会に出稼ぎする人々です。 
 
 不動産バブル、人の住まない団地が問題となってから久しいのですが、今まで先延ばしにしてきたのは、富裕層だけではなく、一般共産党員の試算がそこに並んでいたからです。目立つ富裕層を叩くのは、政治的に反対勢力を叩くのと、国民へのアピール、政治的宣伝です。しかし実態は、不動産バブルを支えてきた一般共産党員、豊かな階層の利権は、今でもしっかり守っているのです。
 習近平の共同富裕にしても同じでしょう。共産党員の利権を守るのが最優先です。少しばかりの下層民対策を、派手に宣伝すると言うことでしょう。
 
 習政権に未来はありません。
 毛沢東主義回帰の習政権に未来はありません。国民を管理すればするほど、人々は萎縮し自由に行動しなくなります。自分や家族の安全が誰でも一番の価値です。経済は常に新たなものを求めています。新陳代謝が必要なのです。生命活動と同じです。ゼロコロナで国民の行動を管理すれば、人々は内向きになり何事にも消極的になります。それが国民全体になれば膨大な力の減速となるのです。
 恐らく日本のバブル崩壊より深刻な状態に陥ってゆくのではないでしょうか。そんな気がします。
 
1/19 六本木ビルからの
東京タワー。海が見える。
 
 ウクライナ問題と台湾
 ロシアが昨年の冬から、ウクライナ国境付近で、大規模な軍事訓練を行い、「ウクライナのNATO加入の撤回を要求」しています。ウクライナは民主派政権が成立して以降、西側への接近を強め、それを阻止するため今回の事態に至ったのです。
 初めはEU加盟国、NATO加盟国もバラバラででしたが、ウクライナ侵攻が現実のものになるに従い、結束するようになってきました。そもそも西側諸国は、EUやNATOの拡大は、経済政治の不安定な東欧諸国のめんどうを見ることになり、負担が大きく積極的ではないのです。
 
 日本から遠くヨーロッパの話では無いのです。中国の台湾合併とリンクする話なのです。プーチンの目論みとしては、二正面作戦はしないというアメリカの軍事政策の裏を攻めれば、なんらかの妥協が得られるだろとの、計算が働いての行動です。
 
 こんなニュースも流れています。ロシア保守派将軍、軍の重鎮のプーチン批判です。「ロシアが魅力ある国で無くなったから、ウクライナが離反したのだ。軍事侵攻し多くのウクライナ人を殺したら、兄弟国であるロシアとウクライナは、決定的に離反することになる。プーチンは政権を去るべき。」と。これが正論でしょう。
 ロシア、その次は中国の対外的な強攻策?
 ロシアは国内の年金問題で、プーチン政権は支持を失った。それを挽回するために、対外的強攻策に出たという説もあります。ウクライナはロシアの一部と言うのも分かりますが、軍事力で併合進めるのは、認めることは出来ません。そういった姿勢、ロシア至上主義がウクライナの離反を招いた訳です。その反省なくしてますますウクライナは、ロシアから離れてゆきます。NATOが拡大した訳ではありません。
 同じことが中国でも起こる可能性があるということです。不動産バブルの崩壊で習政権が、追い込まれれば台湾政策で強攻策に出ると言うことです。
 戦前、神戸で孫文が日本の軍国主義化批判しました。力で押し切る覇道は必ず滅びる。と。中国は覇道を選択しつつあるのです。 
 
 
 北京オリンピック終わって。
 なんか釈然としません。東京もそうでしたが、バブルという、市民社会から隔離されたオリンピックです。観客がおり、それを社会が包み、世界に繋がって初めて、オリンピックはあるのですがね。歪(いびつ)の大会です。スキーのジャンプだの背後に原発です。無神経な中国政府です。アスリートの情熱は確かなので、それでなんとか歪さは緩和されたということですかね。
 そんな訳で東京以上に、管理された北京大会は、僕にとってはすこぶる気分悪い大会でした。
 

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