思い出すまま - No131 /  prev top next

え・ヤッサン
 大震災、日本人は みんな偉い
 三月十一日、有明にある国際展示場に向かう途中、羽田の高速道路の下の道路で地震にあった。車を止め、橋桁が落ちてこないか心配になり、近くの空き地に逃げた。 国際展示場も大混乱であったが、誰も来ないので一人で仕事を終え家路に向かったが、大渋滞。歩道を電車は止まっているのでみんな歩いていた。やっと朝方家にたどり着いた。後はテレビに釘付けである。
 
 テレビ漬けの毎日の中で沸々とこみ上げてくるものがあった。それは「日本人は冷静だな」「辛抱強い、偉い」と言った感動であった。
 僕の好きな納豆は二週間過ぎても手に入らない。精神的パニツクがもたらす買い占めのためです。小さな混乱は随所にあるが、治安が悪化し商店が襲われるとか、駅員に詰め寄り、負傷する。とかいった大混乱は起こっていない。アメリカなら、原発周辺部から百万人の人が逃げ出すかもしれない。「みんな偉い、被災した人も、それを見守る人も」と感動が吹き上がってきました。
 
 
 原発事故
 僕が注目していたのは、情報です。地震で炉心は自動停止した。後は冷却の問題だけ、最悪でも、スリーマイル島の事故以上にはならないだろう、今の技術からしたら、それ以下で押さえられるだろと思った。(実際はもっと深刻でレベル七まで上がってしまったが。)問題は、東電、政府が必要な情報の公表を恣意的に遅らせたり隠蔽しないかである。必要な情報が出てくるならこの事故に対して対応できます。
 東電の問題と言うより、安全院、原子力委員会、政府といったシステムの問題でしょう。システムが事故に対応していないから、様々な問題が次から次と起き続けている。悩ましいのは、問題は分かっているが、代えることができないと言うことです。安定するまでこのままでゆく他ないと言うことです。だから誰の指示が悪い、故意に情報を隠したとかいう種のものではありません。考えてこなかったから対応が遅れたと言うことです。
 温暖化の問題もあり、オバマ大統領が原発開発を表明し、二酸化炭素を出さないエネルギー源として、世界の潮流が原発容認へ傾いていた矢先の事故で、改めてこのエネルギー源の危険性が証明されたわけです。これで世界の原発依存傾向が変われば、良いことです。
 
 想定外
 平安時代の大地震の研究が生かされなかった。火山の場合だと基準の見直しがされている。一万年を基準に、過去一万年以内に噴火したことがある火山を、「活火山」とすることに名前を改め注意を喚起している。地震の活断層についてはそこまで至っていない。
 大惨事は常に想定外のことが起こった時に大惨事となる。阪神淡路の震災も想定外たったから大惨事となった。問題はそんな想定外のことが起こった時にどう対処するかなのだと思います。平安時代の大地震を想定してすべての港に巨大な防潮堤を作ったら、膨大な経費がかかるし、美しい海岸線は壊れてしまう。命だけ助かれば町は再生できます。大惨事に対するソフトの充実が大切なのだと思います。
 
 自衛隊
 今回、自衛隊の力が非常に大きかったと思う。阪神淡路の震災の時はもたついた。戦後、日本人は軍隊にはアレルギーがあるが、今回は早々に政府は十万人体制と決めた。消防や警察の力の規模を遙かに超えてしまったのです、当然のことですが、評価すべきことだと思います。十万人といったら、自衛隊が出せる最大限の人数でしょう。
 
え・ヤッサン
 歩く
 地震直後から歩いています。仕事もないし、異常事態の連日の報道に、ただ、街中を徘徊すると言った方が正しいかも知れません。痴呆老人と違うのは、行方不明にはならず、二三時間して、疲れたら家には辿り着くぐらいですが。
 春になったら歩こうとは考えていたが、豈図らんや、歩かなければ心のバランスを保てないと言う切羽に陥ってしまった。
 
 浜岡原発停止
 五月始め政府が浜岡原発の停止を要請し、止まった。嬉しいですね。最低限、東海地震の予想震源域にある、この原発の停止だけは直ぐにやって欲しかったからです。
 怪我の巧妙ですか、やっと日本の原子力政策が変わる兆しが見えて来ました。これからはゆっくり、この事故を分析し、今後のエネルギー源として何がふさわしいか、議論してもらいたい。
 地熱発電にしても、太陽光発電にしても、世界をリードする技術を持ちながら、何時の間にか、ヨーロッパ諸国に抜かれてしまった。政治の責任です。やっと軌道修正するチャンスが巡って来ました。
 
 放射能
 僕は全面撤廃とまでは言わないが、原発は少ない方が良い。これに頼るのは非常に良くない。と言う立場ですが、放射能の過剰反応には批判的です。今福島で20mSv基準が問題になっているが、何年もこのまま同じ状態が継続するなら大いに問題すべきですが、事故後から一貫して減少し続けている現状では、あまり心配する必要はないと思います。
 元々生命は放射線との戦いながら繁栄してきたのです。十分に抵抗力を元々備わっているのです。過敏になり、元々の抵抗力を弱めてしまう方が問題です。
 
 僕が一番気になっているのは、制限区域内の残留放射能が雨によりどれだけ洗浄拡散されると言うことです。梅雨や台風の雨が過去の公害をどれほど緩和してきたか計りしれません。
 
 復興は
 ゆっくりやればいい。瓦礫の撤去と仮設住宅は、急ぐ必要があるが、復興計画は住民と十分話し合いながら、ゆっくりやればいい。
 町や村で計画が違って当たり前です。安全、環境、高齢化、地場産業と考えるべき問題ははたくさんある。町や村の特長を生かした、理想の田舎を作るチャンスでもある訳です。憧れの田舎を作って欲しい。それがこの大惨事を生かす事だからです。
 
 僕のスタンスは
 これだけの世界的事件に遭遇したからには、「個人的にも何か素敵なものを見つけたい。」と言うことです。この震災と、原発事故は日本社会のみならず、世界が変わる契機になるのだと思います。嘗ての関東大震災で、煉瓦からコンクリートに変わり、アパートメントと言う集合住宅が生まれ、サラリーマンという種族が生まれた。今回は何が変わるのでしょうか。災害に強く、コンパクトに福祉や省エネなど完備した、理想の田舎が建設されるだろうし、原発事故は自然エネルギーが改めて注目されるでしょう。
 ある意味では日本社会の健全性が証明された事件でもありました。高い冷静な行動、モラル、一時的ダメージだけで済みそうな経済。社会に病気を抱えていたら、吹き出してきます。恐らく、この震災と原発事故は、よりバランスのとれた成熟した社会に成長するための、試練なのかもしれません。
 
 仮設住宅作り津波現場会津の実家
 仕事を受けてみたが、ころころと話が変わり大変でした。また期待はずれでした。四月下旬やっと話が具体化しいってみたらおかしい話、飯坂温泉が宿泊先で現場が四十ロ離れた相馬の新地町、毎日一時間半かけて通うとは何とも不合理。大和ハウスが元請けだから仕方ない。
 殴りのパネルより雑なパネルや材料。でも、しっかり断熱材は入っているから、エアコン一つあれば、夏冬快適に過ごせる。家を失った人には何でもコンパクトにそろっているアパートはとりあえずは十分でしょう。ほんの一部お手伝いできたなら嬉しい。新地町の仕事が終わった時点でいったん引き上げてきた。
 福島行きのもう二つの目的は、津波の被害を自分の目で確かめること。会津の実家に寄りお線香を上げること。最初の福島行きでその両方を果たすことができました。 
 田舎は良い。故里があると言うことは幸せです。秩父や房総のあたりだったら、空いている田んぼや畑を使って、色々考えるのですが。例えば、趣味の農園。10から20人メンバーを募って百姓をやるとかね。田植えとか稲刈りは全員集合。それ以外は週末集まれる人だけでいい。あまり個別に畑や田んぼを分けずに、集まれる人がその時期の仕事をする。とか。農業の大変さは知っているので、遊び農業以上は二の足を踏むのです。やるとなればきちんとしないと気が済まないのでなおさらです。
 
 菅政権
 原発事故対応が悪いと野党やマスコミから叩かれています。情報の遅れは問題です。気象情報にしても、メトルダウンにしても、遅れると言うことはその裏で思惑が働いた可能性もある。後でしっかり検証する必要があります。基本は最悪のこと考え行動し、安全が確認されたら規制を解除する、ですが、その危機管理も問題です。
 ただ、どうでしょうかね、どんな政党でも、どんな政治家が総理大臣でも大差ないような気がするのですが。もちろん問題は批判はすべきです。一番はこの事故を想定してこなかったと言うことでしょう。この問題を政争の具にして欲しくないと思います。しっかり検証することです。これ程の大事故なのに、未だ重大な健康被爆者を出していないことは、驚くべきだと、僕は思っています。
 
 この政権、震災で命拾いしたのかもしれません。ある程度の復興の道筋立てるまでは、政争やっている暇はないからです。僕としては民主党政権は四年はやって欲しいのです。できたら八年です。そのぐらいやらなければ、政権交代した意味が分からないからです。日本の社会が大きな曲がり角にきているのです。変わったと言うためにはそれなりの時間が必要なのです。震災ぐらいでだめになる日本じゃありません。十年先二十年先どんな社会にするかと、どんと構えて見て欲しい。震災は考える良い機会です。
 
 今、自民党に戻っても、すぐに元の自民党は利権まみれの政党に戻ってしまいます。しばらく野党で、体質改善が必要です。自民党にきちんとした保守党になって欲しいのです。かってのレーガン政権やサッチャー政権のように、行政改革できる政党になって欲しいのです。しばらく野党の方が自民党にとっても良いことです。もし、「みんなの党」なり自民党以外の新政党が政権担えるなら、それは面白いと思いますが。
 民主党政権を今後支持するか否かの僕のポイントは「国家公務員をどれだけ切れるか」です。「給料の二割削減と人員の二割削減」が僕の考える削減案ですが、そこまでどのぐらい迫れるかです。今年一割給料の削減には踏み込んだようですが、その先はです。
 
 もうしばらくこの政権の行く末を見守ることにします。エネルギー政策見直すと言っていますしね。その中身が気になります。もし自民党政権なら恐らく、原発の現状維持が精一杯で、原発の削減まで踏み込めないでしょう。
 緑の党のような環境問題に特化した政党ができませんかね。環境問題は次世代の基幹産業です。自然エネルギーだけで将来すべての必要なエネルギーをまかなうことも可能です。自然を守るという観点から、人間社会のあらゆる問題を解決する政策を出す政党が新たに生まれて欲しいものです。
 

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