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ギリシャ神話 ナルシス(ナルキッソス)の話


 ゼウスと親しくしていたエコーという美しいニンフ・妖精がいた。エコーは嫉妬したヘラに喋ることがでず、ただ人の言葉を繰り返すようにされた。
 彼女は森で見かけ自分を無視した美少年を復讐の女神に懲らしめるよう頼んだ。少年の名はナルシス(ナルキッソス)、彼は水に映った自分の美しい姿に恋慕のあまり、水に落ちて死んでしまった。水仙はこの少年の化身といわれている。



 
     




 すいせん                〔ひがんばな料〕
Narcissus Tazetta L. var. chinensis Roem.
 
 我国暖地の海岸近くにはえ、また観賞品としてよく庭園に植えていろ多年生草本。ラッキョウ型の鱗茎は卵状の球形で、外皮は黒く、下方に白色のタ数のひげ根を出す。葉は4~6枚がひらたく重なり細長く線形で、先は鈍頭、白緑色をおび質は厚い。1~2月頃、葉の間から高さ20~30cmぐらいの直立した花茎を出し、茎のさきに膜質の仏焔包葉が、長い小花柄をもった少数の花をかかえていろ。花は子房の下で曲り、横に向って咲き、よい香がある。花被は6片で平開し、純白で下部は長い筒状である。花ののどもとに濃黄色のさかずさ形の副花冠がある。雄しべは6本で上下2列になり、花糸はひじょうに短かい。下位子房は3室、緑色で、果実はでぎない。品種として八重咲きのものと寒心緑花(多少緑色を帯び副花冠がはっきりしない八重咲き)とがらる。本種はたぶん送い昔に支那から伝わったものだろう。繁殖はラッキョウ型の鱗茎が分裂してできる。
〔日本名〕漢名の水仙の字音による。〔漢名〕水仙
                      -牧野植物図鑑-





 正月の花には少し早いが、早春の花です。(なお歳時記では冬の花です。)ここ相模湖界隈では、二月の終わりから三月頃、南向きの日当たりのいい土手などに、緑のはをのばし黄色い花を咲かせ、緑の少ない風景にひときは美しさと新鮮さ振りまくのはうれしい。
 僕は水仙は清楚な乙女のイメージなのだが、ギリシャ神話では美しい少年の化身とは少し驚いた。ゼウスがニンフ恋をして、ヘラが怒った。このニンフが少年に恋こごろを抱き、少年は異性を受け入れるのを拒絶する。自己愛、少年の美学、こんな強さがこの花から連想するところが少しわからない。雪国では、雪のほんの少しの割れ目から緑の葉を伸ばしていることもあるので、そんな連想かも知れない。
 神話はおもしろい。古代の人も今も人間は同じ、何にも変わっていないのだが、亦僕にもこんな純な時代があったはずなのだが、異国の物語に見えてくるのは、世の塵埃に汚れてしまったと言うことか。

まもる



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