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   あぶらな  (なたねな)                   〔あぶらな料〕
   Brassica campestris L. subsp. Napus Hook. fil. et Anders. var. nippo-oleifera Makino

 恐らく原種は支那から渡来したものであろうが、日本では古くから栽培されてぺる越年生草本。全体が平滑で茎の高さ1m以上にもなり、上部では分枝する。葉はかなり大きく、茎の基部の葉は有柄で先太り形で、少数の裂片をもった羽状に裂け、時には裂けないものもある。ふちには鈍状の歯牙がある。上画は鮮緑色、下面は白色をおび、葉柄は時にはわずかに紫色をおびることがある。上部の葉は基部は耳状になって茎を抱き、無柄、広皮針形、先端は鋭形、羽裂することはない。
 4月頃、茎頂に総状花序を立て、はじめは集房状であるが、花軸が次第に伸ぴ総状になる。黄色の十宇状花が密集してつく。がく片は皮針形の舟形、長さ6mmぐらい。花弁は倒卵形、先端は円形、基部はせまくなってくさび形、長さ10mmぐらい。雄しべは6、中の4本が長い。雌しぺは1。花が終ってから円柱形で、先端に長いくちばし状突起をもった長角果を生じ、熟すると開裂し、黒褐色の小粒状の種子を散らす。なたね油は主に本種の種子からしぼる。
 本種の漢名として蕓薹をあてているが,これは別種で、ウソタイアブラナという。近頃これの栽培がふえて、本来のアブラナの方が滅少して来た。  -牧野植物図鑑-



 昔小さい時、どこにでも菜の花畑があった。春は菜の花の黄色と共にやってきた。今、田舎に行ってもすっかり菜の花畑は消えてしまい、河川敷などに見かけるのみとなってしまった。江戸時代、換金作物として耕作量が飛躍的に伸びたのです。蕪村の句はそんな時代背景の中で作られたのです。勿論、食用より灯の油としてなくてはならない作物だったのです。
 人間の順応能力にはいつも驚かされるけど、やっぱし寒いときは寒く、暑いときは厚く、自然の共に生きて行くのが一番だと思います。春は桜と菜の花の色で染まらないと、日本人でないと思います。(まもる)

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