prev home next









玉くしげ みむろの山の さなかずら
    さ寝ずはつひに ありかつましじ   
万葉集 藤原鎌足


  玉葛
たまかづら 実ならぬ木には ちはやぶる
    神ぞつくといふ ならぬ木ごとに  
万葉集 大伴安麻呂


核葛
さねかずら のちも逢ふやと 夢のみに
    祈誓
うけひわたりて 年は経につつ   万葉集 柿本人麻呂


山高み 谷へに延
へる 玉かづら
    絶ゆる時なく 見むよしもがも    
万葉集 作者不詳




名にし負はば 逢坂山
あふさかやまの さねかづら
 人に知られで くるよしもがな 
後撰集 百人一首 三条右大臣




葉がくれに 現れし実の さねかづら     高浜虚子


さねかづら 玉の簪  宿の春         山口青邨








 別名 : 美男葛(びなんかずら)

 男性の整髪剤にしたところから。



茎の粘液は、製紙用、鬢(びん)付け油の原料になる。








薬効 : 滋養強壮、せきどめ

薬用部位 : 実

生薬名 : 南五味子(なんごみし)、五味子(ごみし)









さねかずら Kadsura japonica Dunal 
 各地の山地にはえ、また時には庭樹として植えられる常緑のつる性木本である。古い茎の径は約2cmぐらいになり、褐色で柔軟な厚いコルク質の外皮を持ち、枝はその皮に粘液を含んでいる.葉は有柄で互生し,葉質は軟厚で表面に光沢があり、裏面はしばしば紫色を帯びている.夏の頃, 淡黄白色の花が葉肢につき、花柄によって垂れ下がる.花径約1.5cmである。雌雄異株.花被片は9~15個で、花弁とがく片との区別はあきらかでない.おしべ, めしべともに多数集って小球状をしている. 液果は径約5mmぐらいの小球形となり、ふくらんで乗状となった花托のまわりにつき,秋になると花托と共に紅く熟す。
 〔日本名〕実葛は、多分、果実の時に美くし目立つからであると思う. また一説にサネカズラは古名のサナカズラの音転で、サナカズラは滑り葛(ナメリカ ズラ)の意味、この坊は発語で、ナは滑(なめ)のナだという.美男葛は枝の皮の粘汁を水に浸出じてその液で頭髪をととのえたからである。
 〔漢名〕南五味子は本種とは異る。
-牧野植物図鑑-







 夏に花を咲かすけど、秋に赤い実をつけるので、秋の季節に入れました。僕は馴染みが薄くあまり知らなかったのですが、粘液を整髪に古代から使っていたのなら、古代の貴族にはなくてはならない植物だった事は分かります。
 「玉」「実」「真」といった漢字が使われるのは、大切だという意味です。万葉集にもまだまだ大切な植物ありますね。勉強なりました。    (ま)


prev home next