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「りんだうは枝ざしなどもむつかしけれど、こと花どものみな霜枯れたるに、いとはなやかなる色あひにてさし出でたる、いとをかし。」         枕草子


我が宿の 花踏みしだく 鳥打たむ
  野はなければや 此処にしも来る   古今集 とものり


風さむみ なく雁がねのこゑに よりうたむ
  衣をまづや かさまし      『新勅撰集』 伊勢


りんだうの花とも人を見てしかなかれやははつる霜がくれつつ             『和泉式部集』


りうたんの 花の色こそ さきそむれ
  なべての秋は あさぢふのすゑ      藤原定家


ここにして 思はんよりは 走りゆき
  手とりなげかん 竜胆の花 『馬酔花』伊藤左千夫


男なきに 泣かむとすれば 竜胆が
  わが足もとに 光りて居たり 『桐の花』北原白秋








 漢名の「龍胆」の音読みの「りゅうたん」がいつの間にか「りんどう」になったらしい。
 この草の根が胆汁のように苦く、その苦みが特別強いので、最上級を表す龍の字を冠して名づけられたとも、また、ただ単に龍の胆のように苦いから、との説もある。








薬効 食欲不振、消化不良

薬用部位 根茎

生薬名 「竜胆(りゅうたん)」








9/13日、10/23、
11/25日の誕生花

花言葉は
「正義と共に、勝利を確信する」

長野県と熊本県の県花(竜胆)









り ん ど う        〔りんどう科〕
Gentiana scabra Bunge var. Buergeri Maxim 
 本州、四国、九州の山野に普通にみられる多年草である。根はひげ状で、茎は直立または斜上し、大きいものでは高さ60cmにもなる。葉は対生し柄がなく、茎を抱き、皮針形で先はとがり、全縁、3条の縦にはしる脈が目立つ。包葉は狭皮針形でやや小形。秋、茎の頂または上部の葉肢に紫色の花(時に白色花ありササリンドウという)を開き、茎頂のものは5~6個かたまって咲く。がくは5裂し、裂片は線状皮針形でとがり、ややそりかえって筒部よりも長い。花冠は鐘状で5裂し、裂片の間にはさらに副裂片がある。雄しべは5本、雌しべは1本。果実はさく果となり細長く、熟すと2片にさけ、下に残存がくと花冠をつけている。種子は微少な広皮針形で翼がある。根をゲンチアナ根の代用として薬用にする。リンドウの名は竜胆に由来する。
 〔漢名〕 龍膽 
-牧野植物図鑑-







 万葉集に載っている草花を優先させて来ましたが、だんだん難しくなって来ました。次の優先順位は、古くから日本にあり、馴染みやすい草花という事ですね。
 今回はリンドウです。漢字の竜胆が呼び名の始まりだそうです。訛ってリンドウになったが古い和歌はその過程を表しています。   (ま)


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