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しらしらと障子をとほす冬の日や
室(へや)に人なく臘梅の花  青朽葉
臘梅の老いさびし香のほのぼのと
わが枕べを清くあらしむ  清明の節  窪田空穂



蝋梅は 夢のごとくに 花咲けり
  任那日本府 ここにほろびし   岡野弘彦



臘梅や 雪うち透す 枝のたけ
臘梅や 枝まばらなる 時雨ぞら     芥川龍之介



臘梅を 透けし日射しの 行方なし   後藤比奈央
蝋梅や 薄雪庭を 刷きのこす     水原秋桜子
蝋梅の 香の一歩づつ ありそめし    稲畑汀子



臘梅の つやを映しぬ 薄氷      増田龍雨
臘梅の 花にある日の あるとのみ   長谷川素逝




   




Chimonanthus(チモナンサス)は、
 ギリシャ語の「cheimon(冬)+ anthos(花)」が語源。「冬の花」を意味する。


蠟梅の由来
「蠟細工のような、梅に似た花」から、寒さや霜から身を守るために蠟細工状?
 また、臘月(ろうげつ:陰暦の12月)に梅に似た花を咲かせるから。




   




素心蠟梅(そしんろうばい)
花の外側だけでなく内側も黄色いのが特徴。ふつうの「蠟梅」は内側がちょっと赤っぽい。




   




蠟梅 : 1月27日の誕生花

花言葉は「先導、先見」








 ろうばい  (からうめ)     [ろうばい科〕
Meratia praecox Rehd. et Wils. (=Calycanthus praecox L., Chimonanthus praecox K. Koch) 
 本種は後水尾天皇(1611~1629)の時代にはじめて朝鮮から渡って来たもので、支那原産の落葉低木である。観賞花木として普通、人家に植えられている。高さは2~4mぐらい,幹は叢生して分枝する.葉は有柄,対生し、卵形、先端は鋭尖形,全緑,長さ15cm内外,葉質はやや薄くて硬く、葉面はざらつき,羽状脈がある。1~2月頃,葉がのびるよりも先によい香りの花を開き、それぞれの枝の節に密接下向してつき、花径は約2cm前後である。花被は多数で小形の内層片は暗紫色、大形の中層片は黄色で薄くやや光沢があり、下層片は多数の細鱗片となる。おしべは5~6個、やくは外向きである.めしべは多数で、つぼ状の花托の内にあり、花托のふちには不発育のおしべがある.子房は1室で、中に胚珠が1個あり、柱頭は分岐しない。花がすむと、花托は成長増大し、長卵形の偽果となり、内部に1~4個の深紫褐色、長楕円形のそう果がある.種子は無胚乳,子葉は葉状で巻いている。この種の中で花弁が広く、花の姿の美しいものをダンコウバイ(var. grandiflora Rehd, et Wils.)漢名、檀香梅といい花弁が普通品(var. typica Makino) よりやや広くダンコウバイよりせまいのをカカバイ(var. intermedia Makino)漢名,荷花梅といい。花全体が黄色のものをソシンロウバイ(var. lutea Makino)漢名,素心蠟梅という。
 〔日本名〕漢名の蠟梅(臘梅は不可)の音よみで,古名の唐梅は支那から来た梅の意味である。
-牧野植物図鑑-



 



とうとうこの時期に乗せる適当な万葉の草花がなくなってしまった。そんな訳で今回は蝋梅です。江戸時代の初期に日本に伝わったので、珍しすぎ、江戸期の俳句や和歌には詠まれていません。
 寒の頃に咲き始めるので、今の寒さ耐えれば少しずつ暖かくなる。心の寂しさを癒してくれる花です。 (ま)


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