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白檀弓しらまゆみ いま春山に 行く雲の
     逝きや別れむ 恋しきものを     
万葉集


天の原 ふりさけ見れば 白真弓
 張りてかけたり 夜道はよけむ
 万葉集 間人大浦はしひとのおほうら


南淵
みなぶちの 細川山に 立つ壇
     弓束
ゆづかくまで 人に知らえじ   
万葉集


み薦
すず刈る 信濃の真弓 わが引かば
  貴人
うまひとさびて いなと言はむかも  
万葉集 久米禪師


しらまゆみ 磯辺の山の 松の葉の
   常磐にものを 思ふころかな    
金槐和歌集 源実朝


深山辺
みやまべや 真弓よりこき 色ぞなき
   紅葉は秋の ならひなれども       土御門院





 

冬芽             若葉




 まゆみ とも書く。


若葉を山菜として菜飯、天ぷらなどにして食べる。


檀紙(だんし)とは、真弓の若い枝の樹皮繊維
を原料に作られる高級和紙のこと。




 

若い実              実





  ま ゆ み   (やまにしきぎ)     〔にしきぎ科〕 
Euonymus Sieboldiana Blume  
 北海道、本州、四国、九州など各地の山野にはえる落葉の低木。時には高木ともなる。枝に白いすじのあるものが多く、またしばしば枝に黄褐色を帯びる。葉には柄があり、対生をしている。形は楕円形か倒卵状楕円形で、先が鋭く尖り、基部は円いか,鈍くなっている。辺には鈍いこまかなきょ歯がある. 表裏とも毛はなく、長さ6~15cm、幅4~6cm、裏面では葉脈が出ている。初夏にまばらに集散花序を昨年の枝の根本に腋生する.花は緑白色でがくは4片あり、その形は半円形で全縁。4個ある花弁は、卵状楕円形でがく片の約3倍の長さがある。雄しべは4本、花糸は花弁よりやや短かい。花には花盤がある。雌雄異株で雄株には結実しない。さく果はほぼ四角で、直径8~10mm位、熱すと淡紅色となり4個に深く裂け、赤い仮種皮をもった種子を露出する.葉の大小や広いもの、せまいものなどいろいろあるが、同一種内の変ったものにすぎない。
 〔日本名〕真弓は,昔この材で弓を作つたことから来ている。〔漢名〕桃葉衛矛は正しくない。このような漢名は本来存在しなかったのである。檀というのも誤りである。
-牧野植物図鑑-




 




 今回は真弓にしました。古代人が沢山歌に詠んでいるからです。実は少し華やかですが、花は地味です。万葉人が愛したのは、この木が硬くしなやかで弓の材料になったからです。弓は武器であると同時に魔除けの意味が強かったものと思われます。
 また、檀紙は高級紙で源氏物語絵巻などが描かれた。 (ま)

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