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ヨメナ




妻もあらば摘みて食げまし沙弥の

山野の上のうはぎ過ぎにけらずや

柿本人麻呂



春日野に、煙けぶり立つ見ゆ、娘子をとめらし、

春野のうはぎ、 摘みて煮らしも

作者: 不明

( うはぎ=よめな )




ヨメナ





──   野   菊  ──

キクに見える野生のもの総称でで分類学的規定はない。キクは(キク科キク属.)中国が原産で日本には野生種はない。野菊と言われる主なものの通称
キク属 (帰化) リュウノウギク、シマカンギク、等
シオン属 シオン、ノコンギク、等
ヨメナ属 ヨメナ、カントウヨメナ
ハマベノギク属 ヤマジノギク、ハマベノギク、等
ハマギク属 ハマギク






ノコンギク





野     菊
石森延男作詞・下総皖一作曲

遠い山から吹いて来る
こ寒い風にゆれながら
けだかく きよくにおう花
きれいな野菊 うすむらさきよ

秋の日ざしをあびてとぶ
とんぼをかろく 休ませて
しずかに咲いた野べの花
やさしい野菊 うすむらさきよ



しもがおりても まけないで
野原や山にむれて咲き
秋のなごりを おしむ花
あかるい野菊 うすむらさきよ






    

ノコンギク




  
よ め な  (はぎな)     〔きく科〕
Aster Yomena Makino (= Kalimeris Yomena Kitam.)

  各地の耕作地帯の多少湿気がある所にふつうな多年草で、したがって田のへりなどに多く、地下茎をひいて繁殖する。茎は芽立ちでは赤味が強いが、のびると高さ30~100cm、緑色で多少紫色をおび、ほとんどざらつかない。葉は互生し、皮針形であらいきょ歯が目立ち、ざらつかず、質はやや薄い。下部の葉では3本の脈がやや認められる。秋に枝上部でやや鋭角に分枝する細い花茎の先に径2.5cmほどの紫色の頭花が1個着く。舌状花は紫色だが中心の管状花は黄色。そう果は長さ約2.5mmで冠毛ぽ非常に短かい。春に若芽をつんで食用にする。細胞学的に雑種起源という。(オオユウガギクの条下参照)九州南部から支那、インドにわたって分布するコヨメナ(A. indica L.)は冠毛がとくに短かく、そう果も長さ2mmほど、葉に短毛を散生し、茎は低い。

 〔日本名〕嫁菜は若芽を、食用とするこの類中で最も美味でしかもやさしく美しいからであり、ムコナ(シラヤマギク)た対してついた名、古名のオハギナは一説に恐らく緒剥菜で若芽をつむ頃に古茎が立ちしかも皮か細くはげているからであろうという。ハギナはそれの略。
 〔漢名〕雞兒腸、馬蘭は狭義にとれぱコヨノナにあてた方がよい。
- 牧野植物図鑑 -




シオン




  秋は菊の季節、前々から「野菊」言われるものが気になっていたので、調べることにした。 知らなかった、キクは野菊と言われるものが本来の日本のキクで、菊は全部中国から持ち込まれたもの。大きく美しい菊もいいが、野生の生命力はいつも感動させられる。また「野」という形容詞がつくものの詩情も良い。今回は「ヨメナ」を代表として取り上げました。    (ま)





ユウガギク






参照 「野菊の墓」伊藤左千夫
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