iN0105 prev home next i

 
 
 
 

 
 
 
あしひきの、山の木末こぬれの、ほよ取りて、かざしつらくは、千年ちとせ寿くとぞ
大伴家持


意味: 山の木の梢(こずえ)に生えているほよを取って、髪飾りにしたのは、千年も続く長寿を祈ってのことです。




やどり木と思いいでずばこのもとの 旅寝もいかにさびしからまし
薫 宇治十帖「宿木」




    




 






やどりぎ(ほや、とびずた)      〔やどりぎ科〕
  Viscum album L. var. lutescens Makino

 普通エノキに寄生し、またクリ、サクラ、稀にブナなどの枝の上に着常緑小低木。各地にある。長さは約40~60cm、2叉または3叉的に枝分れし、無毛で緑色。茎は柔かくかつ強く、門柱形、節があり、節間は5~10cmほどである。葉は対生で無柄、倒皮針形で、葉の先は円形、下部はくさぴ形、長さは約3~8cm、厚くて革質である。雌雄異株。2月頃、枝先の葉の間に柄のない黄色の小さな花を開く。包は杯形で、がくは厚質、4裂する。おしべには花糸がなくやくはがく片につき、多室で黄色の花粉を出す。子房下位、柱頭には柄がない。果実は球形で熟すと淡黄色となり半遠明で粘汁があり、中に扁平な深緑色の種子が1個ある。この果実が個然に他の樹枝に粘りつくとそこで発芽し、新株になる。果実がみかん色に熟す品種をアカミヤドリギ(var rubro-aurantiacum Makino)という。
〔日本名〕寄生木。宿り木の意味で他の樹に寄生して生活す るからである。一名ホヤの意味は不明。トビズタはこの木をツタにたとえ、ま年樹から樹に移って生えるからである。
〔漢名〕冬青。これはナナメノキの漢名でもある。解寄生という中国名は実際には無い。
-牧野植物図鑑-







 






 冬になると目だって前から気になっていたが、「寄生」というマイナスのイメージまま、ここに載せるのをためらっていた。僕の記憶の冬の植物も少なくなり、調べてみると、古代からその生命力に神聖さを感じていたと知り、ほっとした。  昨年まで居た、上野原の村の大きな欅に四つ五つと青い丸い玉を見かけた。雪の降った日などは、ことさらその青さが目だった。古代人が感じていたように、この四、五十センチの緑の小宇宙は、命の力強さの象徴なのだろと改めて思う。 (まもる)


i prev home next i