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人として

 
   神様のような人もたまはいるし、
   悪魔のような人もまたほんの少しいる。
   ほとんどの人は少し意地悪だが良い人である。
 
            「人として」という疑問が、
            幾数十年の時を経てまた蘇る。
 
   悪の素質は誰にでもあるにはあるのだが、
   過失犯はともかく、重大犯を侵すためは、
   才能と共に環境的条件が整わなければ起こらない。
   それは、まるで美しい芸術作品作る仕事のように。
 
            「人として」という疑問が、
            幾数十年の時を経てまた蘇る。
 
   平凡と言われる圧倒的長い時間の中、
   「感動」ということが薄れ、
   「何も何もこんなものか」と感じてしまったこの時期、
   こんな疑問がもち上がるのは、当然の成りゆき。
 
      しかし、まだまだしばらく、この疑問の回りを、
      ブツブツブツと、堂々巡りするほかないだろ。
 
 
   風景がすべて無気質な鉛色に見えていた高校生の頃。
   「夢」と聞かれ。答えられずどぎまぎした二十代半ば。
      分かってしまったが、全く納得していない自分。
      さりとて、何も先が見えてこない中途半端な時期。
 
 
      「人としてどうすべきか」という、
            若い頃考えた疑問が、
                  幾数十年の時を経てまた蘇る。
 
2007 5/3 Mamoru Muto

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