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サーフィン in 浜岡

澤村 浩行

 

この1~2年で20メートルもずれた

静岡、愛知のサーフ・ポイント

この1~2年の内には

40メートルずれるだろう

その時に来るドッカーンと

淡路、阪神よりもデッカーイやつ

 

300キロメートル四方の命かかった

100万キロワット以上のアトミック・

スーパー湯沸かし器,6基

 

サーフィン in 浜岡

時限爆弾セットされた

サーフ・ボード

 

コケて止まった1号2号

ブクブク煮たぎる3号4号

ガタガタ立ち上がりつつある5号6号

オイラが待ってるビック・ウェイブは

ラディオ・アクティブに輝く

大津波じゃあねえんだぞ

 

300キロメートル四方の命かかった

100万キロワット以上のアトミック・

スーパー湯沸かし器,6基

 

サーフィン in 浜岡

時限爆弾セットされた

サーフ・ボード

 

毎日 海から命を貰っている

毎日 波間に命を拾っている

正直きわまりのない

水平線を聞いている

このツケはデッカーイぞって

てめえたちの命だけじゃあねえんだぞって

 

300キロメートル四方の命かかった

100万キロワット以上のアトミック・

スーパー湯沸かし器,6基

 

サーフィン in 浜岡

時限爆弾セットされた

サーフ・ボード

 

宇宙の闇にきらめく日本列島

犬も歩けば自動販売機

逆毛を立たせるエアー・コンディショニング

まばたきもしない待機電力

命をカタに取った

52基のアトミック質屋

 

300キロメートル四方の命かかった

100万キロワット以上のアトミック・

スーパー湯沸かし器,6基

 

サーフィン in 浜岡

時限爆弾セットされた

サーフ・ボード

 

ラディオ・アクティブに輝く

因果報酬の雲を生まない

正直きわまりのない

風のまわすプロペラ

太陽の注ぐシリコン

正直きわまりのない

水も地熱も水素もメタンも

間伐材も廃材も、そしてこの海の波も

命をねこそぎカタにとりはしない

 

眠っている間はきらめなくてもいい

コインがカンカラに化けなくてもいい

決いてるか決いてないのかのエアー・コンディショニングでもいい

待機電力に赤く見つめられなくてもいい

サーフ・ボードに時限爆弾はいらない

52基のアトミック質屋は廃業してもいい

 

サーフィン in 浜岡

正直きわまりのないビック・ウェイブに乗る

サーフ・ボード

正直きわまりのない自然のエネルギーに乗る

サーフィン in 浜岡

 

正直きわまりのない自然のエネルギーに乗る

サーフィン in 浜岡

 

2002年2月10日伊良湖岬

 

追記

 昨年、11月末より2ヶ月間沖縄に住んだ。普天間基地移設先の辺野古岬を眼前とした浜でキャンプ生活をした。週3日は基地反対派の一歩兵として名護市やその東海岸の集落で、ビラ配り座りこみ、デモ行進に参加した。残りの日々はミュノーケリングして、残り少ない魚や珊瑚と顔合せした。名護市長選は、基地反対派が一本化するのに手まどり、負けたが、優しくしたたかで賢い沖縄人に会った。最後に、国連文化大使としてインド公演に行く前の喜納昌吉が、私の唯一の著作(ユーラシア大陸放浪途上-梨なしの木舎)の件で話を聞きたいと、居候させてくれた。「すべての武器を楽器に」をテーマに、国連平和大学沖縄分校を実現しようとしている在沖縄の知識人や文化人の会議にも参加した。彼らに、足元を見直し、そして世界を見渡すことを教えられた。沖縄にとって最大の課題は基地であり、本土にとっては原発であることがヒシヒシと感じられた。

 神戸に上陸して、映画「ポピの予言」の監督宮田雪を見舞い、言葉も発せられない寝たきり7年の彼から、沈黙のメッセージを受けた。そこで、静岡愛知を2週間廻り、若いミュージシャンやサーファーや地元の反原発運動家に会い続けた。どこでも絶妙なタイミングでギャザリングに参加できた。たび重なる偶然こそ、カオスを渡る旅人の行くべき道を示している。

 政府筋では東海地震が4年以内に起こるとの情報があるらしい。地元の住民は1年以内ではないかと感じている。チェルノブイリ事故は、地震が引き金となった。私の滞在していたイタリアまで汚染された。その結果、イタリアでは国民投票で原発を全廃した。浜岡原発直下に震源地は予想されている。そこで原発震災が起これば、横浜名古屋も居住不可能地域となる。事故続出、廃棄物処理能力も限界に近づきつつあり、大学の原子力工学科廃止が続き、不人気のため技術者の補充もままならず、テロの恐怖もある。日常的には秘密警察社会ともなる。ドイツは2020年までに原発全廃を決め、代替エネルギー転換は経済をも活性化する。勿論あらゆる命と、文化をも。

 今年は静岡で多くのアクションがある。ぜひ、「原子力情報室」や「たんぽぽ舎」の反原発メジャーや、「なまえのない新聞」「人間家族」の浜岡原発特集を読んで頂きたい。静岡の若い文化人がこの問題に取り組んでいる。カヌーやカッターを漕ぎ、それに合わせて沿岸や遊歩道を歩き、自転車専用道路を走り、サーファーともども海岸で文化的に表現しようとしている。アートとは反骨の精神から生まれる。それは、人間の闘争本能の平和的表現なのだ。そして、平和な状態を常に生産し続けなければ、平和は劣化し形骸化し、突然に崩壊する。カンボジャしかりユーゴースラビアしかりアフガニスタンしかり。今や日本しかりの時が。

 6月のワールド・サッカーがらみでもいい。ぜひ静岡の現場や、裁判闘争の原告ひと口3千円等のアクションに参加して頂きたい。アンフェアーな遺産を次の世代に残さないためにも。

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