pre next

       変化

 

 ドストエフスキーは不幸は軍隊の様に隊列をなしてやって来るといった。

  そう悪いことは重なってやってくる。

 でも、その不幸に耐えたとき、いつもは通りすぎしまう小さな花も、

  底知れぬかぐわしい匂いを発していることに初めて気付く。

 

 変化は誰にでもやってくる。

  変化には良いか悪いかは結果の問題にであって、

  変化そのものに良い悪いはなく、

  それは変化を受けとめる側の問題であると思う。

 

 何千年と同じことをやり続けることが、

  生命の最も本質的なものかも知れない。

 変わらない田舎の風景や、

  中世のそのままの町並と人々の変わらぬ人情をもとめ

  いそいそと外国に旅行に行くことはよく分かる。

 しかしそれは、沢山の個人的変化の集積が不変だということです。

 

 人は、生まれてから大きくなり老いて死ぬ。

  目まぐるしく変化をし続ける生きものである。

  そして日々、明日良い知らせが届くことを夢見ている。

 

 僕も変わることをいつも求めてしまう。

  とりあえずは良くても悪くとも。

 変化の兆しががあると、それだけでわくわくしてしまう。

  たとえそれが悪くても変化でも、

  もしかしたら、素敵な出会いの証かも知れないから。

             

Mamoru Muto 03/4th stp.

pre next