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人は何故、残虐になるのか

兵士は普通の人間です。
いつもは軍規により行動は規制されています。
しかし、戦争という特殊な環境の中、
特に負け戦となり軍規は乱れ、
普通の人間が、残虐性を呼び起こします。

残虐性の本質は、恐怖です。
やらなければ自分が殺されるという恐怖です。
人は戦争という環境で残虐性を増してゆきます。

ウクライナ戦争のように、
兵士に戦争の必然性は、
直前まで告げられませんでした。
演習と実際の戦争では全く違います。
心の準備が出来ていないのです。

戦争が泥沼化して、恐怖が日常化すれば、
急速に、殺人鬼に変身してゆくのです。

軍と軍の戦いなら、大きく道徳的な逸脱はありません。
しかし、市街戦となり、ゲリラ化した市民が、
全く知らぬ街の、あらゆる所に潜み、
こちらを狙っているとなると、
恐怖は極限に達します。

そして、
敵の家族、女性や子供も、敵の一部、
排除すべき対象と、道徳を大幅に逸脱をしてしまうのです。

戦争には正義が大切です。
それが状況あった正当性があれば、
兵士は自分の道徳と合わせ、むやみに逸脱しません。

しかし、その正義が納得できなければ、
自分の受けた恐怖の二倍三倍して返す。
と残虐さをエスカレートしてしまうのです。

末端兵士の問題ではありません。
指導部の甘い戦略や状況認識の間違いは、
重大なのです。
残虐行為をする兵士も、上官に支配された、
被害者ともいえます。

2022.4.11. Mamoru Muto

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