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婿 取 り 婚 


 世界で百年以上続く老舗が、一番多いのは日本です。古いものを大切にするヨーロッパ諸国より、日本がダントツ多いのです。驚くべき事です。
 室町時代から続くお店はそんなに珍しくなく、平安時代から続く千年店舗もちらほらあるのです。

 どうしてでしょうか。その理由の一つが「婿取り婚」です。平安時代まで続いた、古代の家族制度です。
 老舗は特殊な技術を持った技術者集団です。長い年月の間には、何度も存続の危機があり、それを乗り越えなければなりません。
 その時に、優秀技術者や経営者を婿に迎え、存続の危機を乗り越えてきたわけです。

 男の後継者がいない。いても稼業に不向きである。等々の問題は常に起こり得ます。世界が男系相続社会に固定化する中、日本は古代の習慣を温存し、婿を迎えることがタブーではなかったのです。臨機応変に状況に合わせ、男系、女系相続の家族制度を使い分けてきたのです。

 室町時代の組合、「座」や「市」でも、家業の存続を最優先に考え、男子長子相続にこだわっていません。男系相続を尊重する武家社会でも、婿取り婚でお家を再興した例がたくさんあります。

 最近問題になっている、女性天皇は、明治期に、古来からの常識を捨て、まだ男系継続の強かったヨーロッパ風に変えた、おかしな制度です。

2019.4.20 Mamoru Muto

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