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吉 田 ナ ギ 



吉田ナギというカメラマンがいる。
良いですね、彼女は。
世界の少数民族の着飾った姿をカメラに納め、評価の高い女性カメラマンです。

特別な芸術家を感じさせない、どこにでも居そうなおねいさんです。
それが少数民族の人々から見たら、打ち解けやすさに映るのでしょう。
彼等の食べるものを食べ、泥で化粧する人々なら同じ化粧し、
心が通じたら、始めて機材を持ち出し、撮影する。

民族衣装は彼等にとり晴れ姿です。
男なら格好良く、女なら美しく。
それは人類共通の美意識です。
そう願って、民族衣装でポーズを取った時、美しく、カッコいい写真が撮れます。

少数民族といっても、僕らと同じ人間です。
若者には夢があるだろうし、未来への不安もあるだろうし、
親や仲間との葛藤もあります。
大人ならそれなりの自負もあるし、更に自らの民族のプライドもある訳です。

外からやって来た人間が、それらを理解出来る人物だと分かった時、始めて心を開く訳です。

若い頃、水俣病患者の写真を撮っていたユージンスミスと出会った。
彼は殆ど日本語を話さなかったが、患者さんに信頼されていた。
写真を撮られる人々の目線まで近づいてゆく、その撮影姿勢は同じだと思った。

2019.2.4 Mamoru Muto

 世界には、相対的に少数になってしまった民族が無数存在します。島だったり山だったり、森林や砂漠に生活しています。数百年、時には千年以上の伝統ある生活スタイルを守っています。それはその環境に適応した、すこぶる合理的な生活スタイルなのです。彼等を取り巻く世界が変わってしまったが故に、奇異に見られたりしますが。
 若者が都会に出て新しい生活スタイルに慣れ親しむに連れ、その多くは消滅する運命にあります。しかし、そういった生活や文化が何百、何千続いたということは、人類の貴重な財産なのです。僕らの心の故郷といってもいいかもしれません。
 民族衣装が美しく映えるのは、そんな必然を兼ね備えた象徴だからです。
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