思い出すまま - No164 /  prev top next

 フィリピン ドゥテルテ大統領
 今年五月に圧倒的多数で選出された、ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領。なかなか分からない人物である。就任以来千人以上の麻薬患者や犯罪者を、殺害し、万を越す犯罪者を刑務所に送っている。裁判より殺害と言った超法規的措置である。国連や西側諸国からの懸念の声に、ストレートな拒否の発言は、アメリカ大統領との会談の延期までひきおした。
 しかし、市長時代の実績、強行手段による犯罪都市の治安を回復したことが、フィリピン国民の圧倒的支持へと繋がった。フィリピンの抱える最大の問題は治安の悪さです。だから外国企業の誘致もままならず、それが貧困を生み犯罪者を作る悪循環だからです。
 この大統領、役人の汚職などにも厳しく発言しているところを見ると、不正には厳しいらしい。地方の市長という地方政治家と国の代表としては大きくその仕事内容が違う。現在南シナ海を中国の進出問題などでは、高い国際感覚が求められる。七月にでた仲裁裁判所の判断をどう使うのか、なかなか予想は難しい。中国もアメリカの大国に対して、手玉にとるような大物大統領に成長するのか、あるは中国の甘い言葉になってしまうのか、彼の力量がこれから試される。
 
 どうも、この大統領、独裁志向ですかね、貧困と犯罪を見て来たからの強行手段か分からない。学生の頃共産党員の先生の感化との情報もあるが、反米や中国、ロシアへの好意などはその辺から来ているかも知れない。現在の中国やロシアは彼の理想とする共産党とはかけ離れてしまった。
国民の圧倒的支持の中、力による麻薬撲滅から様々な面に、力による支配を強めるようなら、警戒が必要だが、フィリピンは独裁のマルコス政権を倒したり、民主主義を知らない国民ではない。
 
 10/20、ドゥテルテ大統領は中国を訪問し、国際法廷の判決を棚上げにすることにより、大幅な援助を約束させた。後は来年予想されるクリントン大統領のアジア政策ですね。大国の板挟みで逆の結果になる可能性もあります。親米寄りの外交をして来たフィリピンを変えるのは大変なことです。さてどうなりますか。
 かって、ベトナム戦争時はフィリピンはアメリカの最前線でした。最近ベトナムはアメリカに急接近しています。フィリピンが中国に接近となると、何やら複雑なります。お金の力は大きい。しかし、問題はその中身、国を豊かにするのは、お金だけではない。
 
 市民、中国
 フィリピンへの二兆五千億の経済援助に、ネット上に批判がでた。経済援助の法制化、非効率な援助の見直し等々。転写され駆け巡っているとのこと。
 今年はアメリカの大統領戦だが来年は中国の指導部の入れ替えがあり、来年は中国の政治の季節です。
当局のインターネット規制益々強化されているが、それをかいくぐり、政策批判が出てくる。当然の事です。
 台湾も韓国も高度成長後に、裕福になった「市民」層が政治的発言を強め、民主化を実現した。この流れは中国でも変わりはない。当局は悉くその芽を潰して回っている。
 しかし、権利闘争が激化したり、景気な低迷などで、規制が緩んだあいだに、市民層の不満として出てくると思われ、彼等、市民層の権利意識が、中国を変えてゆくのです。気長に待つ他ないようです。
 9/ 16 恵比寿の画廊 手塚太加丸君らのグループ展
 屋久島の手塚夫妻の息子です。手塚夫妻も初日上京し顔を出出すと、
案内には書いてあったが、旧住所だったので、届いた時には初日を過ぎていた。残念。
 嬉しいじゃないですか、屋久島の木材を使っただけの展示ということは、
すくすくと大自然の中で育ったという事です。
 
 東京オリンピックなんかやめっちまえ!
 旧来通りのオリンピックならつまらない。というのが、オリンピックに対する僕の感じている事です。東京に決まる前、福岡案があった。それなら面白いと思った。東京以上にコンパクトなら、オリンピックの歴史に一石を投じる事が出来る。
 オリンピックは国威発揚と商業主義で、大都市でなければ、国の支援なしには開催出来なくなっている。ここで金のかから無いオリンピックを開催出来たら、将来東南アジアやアフリカや中東などでも開催出来るものへと変化する可能性がある。
 東京も、金のかから無いコンパクトなオリンピック、環境問題をテーマにしたはずだったが、あっという間に巨額の資金の必要なイベントになってしまった。旧来の自民党政治、役人との無責任体質の先祖帰りである。小池知事が怒り出すのも当たり前、怒らない政治家達が無能なのである。
 国立競技場の建設でスッタモンダあってやった落ち着いたが、今更新しい建物建てるより、古い競技場を改修し使用した方が、世界に対するアピールとしては雲泥の差の効果があったろう。「古いものを大切する国、勿体無い精神の国」と称賛されたはずである。
 舛添や森といった馬鹿な連中が、キャンスを使え切れずに並みのオリンピックにしてしまった。こんなもんやめっちまえ!だ。
 9/25 かに坂ロックフェスティバル、
スタッフの打ち上げ、福生市内公民館。

 いつももだと、誰か踊ったり歌ったり、宴が盛り上がると
始まるのだが、今回は子供達を言いくるめ、歌わせていた。
 
 ネーミング、「都民ファースト」
 小池ゆり子が都知事に当選して、豊洲市場問題、オリンピックの経費削減と今までの行政に切り込んでいるのは当然のことです。評価しても良いと思います。彼女が来年の都議会選挙を見据えて、自分の政党を作ろうと立ち上げた「都民ファーストの会」のネーミングは気に入らない。政党を目指すのは悪いことではないが。
 「ファースト」という言葉のもつ意味合いが気がかりなのです。他者を排除するからです。東京は日本の第一の都市です、今更ファーストを目指して何になるのでしょうか。大阪や名古屋がファーストというなら少しは分かるが。
 
 世界的に今年は「ファースト」を名乗る運動が目立った年です。イギリスEU離脱派はブリテッシュファースト、アメリカのトランプも、USAファーストです。「自分達は疎外されている」と言いたいことは分かるが、感情が先行して理性を忘れている。
 カタカナ英語を使ったら受けるとは、安易な考え、保守的他者排斥のファーストはいい名前じゃない。
  最近、希望とかいう名前に、いつの間にか変えたらしい。悪い流行語は使うべきではない。
 
 TPP
 TPPは日本、アメリカが参加を表明してから大きく意味合いが変わりました。参加12カ国五億人の巨大市場が生まれるからです。 第二次大戦後IMF体制と言われるように、アメリカが世界の経済をリードして来ました。しかし、リーマンショックによりその地位が揺らぎ始めたのです。それで集団で今後の世界経済をリードして行こうといているよです。
 現在、中国の鉄製品のダンピングにより世界の鉄鋼産業は壊滅的危機に瀕しています。そう言った問題が今後、様々な産業で起こるのを、少しでも緩和する働きが期待されます。
 
 TPP参加国は得意、不得意な産業があります。得意の分野では、TPPは有利に働き、不得意な分野では不利に働きます。各国の経済成長は二次的な事で、一番は、世界経済の安定なのです。今後予想される中国、インド、ブラジルなどの、経済規模を拡大しつつある国々の、不安定さが世界経済に及ぼす混乱の阻止、軽減すること。こちらの意味合いの方が、歴史的に言って重要なのです。
 前例で言えば、共産圏崩壊による立ち直りの過程が参考になると思います。EUが連帯していたからこそ、東欧、ロシア経済が十年程度で立ち直ることができたのです。イギリス、フランス、ドイツがバラ場であったら、混乱はもっと長期化していたと思います。
 
 日本について言えば、農業は国際化に対応して来なかった、自民党農政の失敗です。これから急ぎ改革してもらう他ない。ただ、日本の中間層、少し経済的に余裕のある、多数派の人々が、安さだけで、外国の農産物に飛びつくとは考えられません。又、地産地消ということが定着しています。マイナス点だけに目が行くのは、間違いです。
 自民党の最もいけないのは、秘密主義です。それでは、国際化に対応して行こうと考えている農家の対応が、遅れることになります。幅広い人々の合意、透明性、公正さ、安全性、信頼性の維持こそが、TPPの最大の強みだからです。EU、経済統合から政治統合経て、実に半世紀以上に渡り、一つ一つ合意を取り付け拡大したことは、大いに参考にすべきです。
 
  10/ 7 浅原友子さんらのグループ展、表参道
 山梨県で定期的に個展を開いているのですか、
今回は東京グループ展という事です。
仕事と合わせ、顔を出して来ました。
 
 労働革命、好きな時に働く会社
 パート十数人で運営されている、魚介類の冷凍品を作っている食品会社。東日本大震災で被災し、その後復興する中、働きやすい環境を追求した結果、
  1 好きな時間に会社に来て働く、電話しなくてもいい。
  2 嫌いな仕事をしなくてもいい。
という原則で運営を始めた。
 毎日のバラツキは出るが、一ヶ月トータルすると平均化し、生産性は上がったという。
 勿論、パートの皆さんには好評で、嫌いな部署の仕事しなくてもいいので、気がらくになった。急の熱や子供の都合のに合わせられる。等々。
 「好きこそものの上手なり」で、好きな仕事は製品の完成度も良いし、効率も良くなるたいうことです。逆に、拘束時間の長い仕事は、システムに欠陥があるという事です。仕事でストレスを抱えることが多いので、事故が起こりやすいという事です。
 
 外交も人間の付き合いも誠意が大切。
 またフィリピンの話に戻りますが、大統領がアセアン諸国以外で最初に訪問したかった国が日本です。先の大戦でのフィリピン人の犠牲を天皇も訪問して謝罪しているし、バナナをフィリピンの主力の産物にしたのは日本人、台風、火山、地震と災害毎に援助をして来た。アメリカのように支配した過去が短い分、日本は最も信頼できる国なのです。
 経済済進出でも、中世の近江商人の三方よしの哲学が尊重され、現地に寄り添った進出が、ヨーロッパ型、中国型進出と一線を画して、東南アジア、アフリカ諸国に歓迎されているのです。経済や政治の世界では、直ぐにヘゲモニー、主導権争いが主眼になるのですが、でもそれらも人間同士の交流があっての話、誠意を持った付き合いこそが、一人一人に限らず、国家間でも最終的には力を持つということだろうと思います。
 
 三方よしの哲学は「売り手よし、買い手よし、世間様よし」の教えです。売り手、買い手、更にその周りの世間の幸せのために商売はあると問いているのです。海外進出で、その国の経済発達に役に立つ中で始めて、自分の企業も利益を上げるということです。
 目線が低いのです。遅れた国を教化すると言った傲慢さがないのです。ヨーロッパ型はキリスト教的教化の思想を捨てきれません。中国型は自分達の利益を最優先に考えてしまう。これは文化の癖です。特にバブル景気崩壊以降は、日本の商売の原点に戻った商法で信頼を得ているのです。

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