思い出すまま - No116 / prev top next

 9月の金融危機
 さすが資本主義の国アメリカです。政府の市場経済への介入を拒んできたブッシュ政権が、いったん介入し始めたら、大規模徹底的です。日銀総裁は財務省からの天下りが慣例になっていたり、ころころ変わる担当大臣の日本政府の金融政策じゃこんな決定は出せないでしょう。
 資本主義経済は最終的には人間の心が決めているのです。夢や希望や不安が市場を決定しているのです。希望があるなら、少々の困難は克服できます。不安が蔓延しているなら、何をやっても効果はありません。政府のは助けるものは助ける、切り捨てるものは切り捨ている、公明正大、かつ厳格な審判の役割があります。一番のしてはいけないことは、小出しの政策では、自信暗鬼になっている経済の不安を払拭できません。失われた十年と言われた日本の九十年代、小出しの政策決定が傷口を大きくしたのです。それに比べたら今回は回復は早いかも知れません。恐らく回復には、二年ぐらいはかかるでしょうね。
 
 世界の株価の下落率を見ていると、その国の経済力の違いが見えてきます。ヨーロッパ諸国、ロシア、アメリカ、ブラジル、日本、韓国、中国、シンガポール、インド、オーストリア。下落率が低いのはEU経済圏。それ以外はアメリカの下落率より同等か大きくなっています。それらの国はアメリカ経済への依存度が高いことを示しています。EUは今世界で一番安定した経済圏であることを示しています。ブッシュが思い切った政策を打ち出させたのは、比較的安定していると思われていたEU経済への悪影響が起こり始めたからです。もし政策判断を間違えたらそれこそ世界恐慌が起こる危険があったからです。
 
 「世界経済に寄与するには自国の経済を強くすること」という言葉があります。世界は一つ、益々経済では世界は相互依存度を増していますが、自立的なバランスの取れた経済が強いのです。特にこんなこういった金融危機の中では。今回はEU経済の安定が世界恐慌を回避させてくれました。
 一方日本のように、輸出に頼った経済は弱いのです。自国民が豊かになり、自国民が買い物をして経済活動が活発になる経済が強いのです。その上で、外国からの投資や輸出入と云ったもの入ってくるのがバランスがいい、強い経済です。
 
 世界が色々な意味で調整曲面に入ったと云うことです。ひとつは、九十年代から続いてきた、アメリカに世界の富が集まることは是正されると思います。当然の成り行きです。
 また、旧共産圏の経済復興、中国、インド、ブラジルの台頭の中起こるべくして起こったことです。益々世界が協調して行くべき時代に入ったと云うことでしょう。
 
 第三に「サブクライムローン」という一不動産分野の不況が世界経済の悪化まで広かったかと言う問題があります。金融資本主義の持つ不透明さがそこにあります。デリバティブという高度に複雑な証券故に、不良債権か否かが簡単に分からない仕組みとなり、不安が百倍千倍に広がってしまったのです。物価を二割押し開ける巨額の投機資金と共に、不透明な債券に対する規制を何らか検討されるべきだと僕は思います。
 
 アナリストはこれから債券処理が進むにつれ、不景気になると云います。どの程度日本にまで及ぶのかわかりませんが、かなりの不景気は覚悟しなければいけないと思います。いまだに日本がアメリカ頼みの経済から脱却していない現状ではいか仕方ありません。
 
 歴史の中から見れば、水の流れのごとく、高いところ低い所に流れ、浮かび上がったものは沈んだだけだろうと思います。経済も政治も人間の欲望の集積です。人の期待を常に裏切ります。面白いと云えばそこです。
めがね猫
俳優の小田切穣のお母さんの猫らしい。
 追記1
 十月に入り、そこが見えるどころか益々株価は下がり続けている。金融危機は世界に及び、世界恐慌の色彩を帯びてきた。ここに至って世界の各国の政府が協調する方向性がはっきりと打ち出されてきました。
 この先どうなるかわかりませんが、これはいいことでしょう。危機に対しては世界は協調して対応せざるを得ない、これからの世界政治の方向性があるのじゃないでしょうか。孤立した国家ではなく、連合しなければ経済はもはやコントロールできないと云う歴史的必然を物語っているのだと思います。
 G7、G20、ヨーロッパ首脳会議と立て続けに会議がもたれ、「一般預金者の保護」「公的資金投入」がさらに鮮明に打ち出されました。そろそろ株価の下落が納まるのじゃないでしょうか。少なくとも世界恐慌にはならずにすむと僕は思います。
追記2
 そう現実は甘くないようです。金融危機は回避されたけど、他の経済、実体経済のダメージは何にもされていない、これからそれらが表面化して、回復するまで長い冬の時間が必要のようです。
 
 世界の経済の心臓であるアメリカの金融部門が、心臓発作を起こした。応急手術で、当面の危機は回避されたが、「お金」という血液がうまく廻らなくなっているということです。体のダメージはこれから出てくる。といった状況でしょう。
 
 100年に一度の危機、史上最大の規模の危機です。これからじわじわと僕らの実生活に影響が出てきます。それも何年も長くです。僕らが実感するのはこれからです。途上国への影響も寄り深刻でしょう。
 
 この危機の中でいい変化が起こっています。
一つは世界が、世界の政府が足並みを揃えてこの危機にあたっていると言うことです。これは大きな変化です。中国、ロシア、インドといった市場経済の外にいた国々が一緒になって協調している。21世紀の世界政治の行方を占ういい兆候です。
 もう一つは、「自由と規制」どちらかという自由一辺倒だったアメリカの経済政策に、一定の規制がその中で話し合われるでしょう。金融バブルを招いた部分、「ファンド」といった巨大な資金に一定の監視が必要です。石油や食糧と言った基本的な市場を二割三割と相場を釣り上げてきた、巨大資金には一定の監視が必要です。
 第三に、旧共産圏崩壊以降、アメリカの一国支配と言った政治状況が是正されると言うことです。旧共産圏とインド、ブラジルの市場経済での力のを付けてきたことは、世界がより協調した経済政策の必要を要求しているのです。
 
 僕は、水の流れるごとく、先はそう悪くないと思います。
経済のほかに、温暖化の問題、食糧危機の問題、貧富の格差、各国が協調しないと解決されない問題が山積みなのです。テロの一番の原因は貧富の格差の問題です。
 
 100年に一度の危機
 金融の神様グリーンスパーンさんが議会でそう証言したように、今、経済危機の直中にいます。後世の歴史家がどう表現するかはわかりません。100年前はウォール街の株価の暴落後、世界は保守的となり自国の利益しか考えなくなりました。ファシズムとか極端な民族主義の台頭を許し、世界戦争へと進んだのです。
 ただ今は、世界の首脳がこの問題に付いて会議をする余裕があります。人種や宗教への偏見や差別は大幅に緩和されてお互いを知るようになりました。この程度の危機を回避できなくて、今後予想される温暖化や、人口増加による食糧なんは解決されません。
 人口が増え、経済も何もかも二桁大きくなった世界です。危機も巨大なのです。一つ判断を間違えれば、世界恐慌へと落ち込む可能性の中を今、進んでいます。
 経済は希望と欲望と不安と落胆といった感情を持った生き物です。一つ外れると、もうコントロールできない化物に変わってしまいます。それをうまく飼い慣らすのは政治の力です。世界の政治の力が今試されているのです。
 
 僕が経済に興味を持ったのは、株価にしても為替レートにしても、もとは人間だからです。人間の心、特に感情の集積としてみたとき、経済という動物に見えてくるのです。生き物です。普通は、あるルールの基にコントロールされているのだけど、こういういつものルール以外のことが起こると、野性の本性を露にしてくるのです。だからおもしろい。暴れ馬です。今は手負いの暴れ馬状態です。悪いことには異常に飯能市、いいことはなかなか信じようとしない。
 バブル経済の頃、ちっと土地持っていいる人は不動産屋になった気分になっていたし、その前のオイルショックの時はみんなトイレットペーパーを買い集めた。冷静に考えたらそんなことありえないのに、そういう行動に走る。そういうことが今世界的に起こっているのです。
 金融の世界から一般の経済まで影響が及んできたら、みんなそわそわし出すかも知れません。しかし、もっと自国の政治や経済を信じるべきです。そこからこの地震は収束に向かうのだろうと思います。
 
 
 ホームページの引っ越し
 九月下旬にAOLから十月一杯で、ホームページサービス閉鎖のの通知。慌ててドメイン収得の手続き。1GB(ギガバイト)と言うスペースを契約しました。桁違いに広くなったので、入る入る。今までのものの他に、全部のバックナンバー入れても1/3程度。みんなの個別のコーナーを作ろうと、夜鍋仕事を続けてしまった。お陰で、皆さんに感謝のメールをいただいた。ここで作業はいったん中止。
 パソコンの世界は仮想空間です。今回の金融危機の世界同じなんです。実社会と遊離したものは、必ず仕返しが来るのです。世界のネットワークの世界を実際の金じゃなく、バーチャルな金が動いている。それが金融の世界です。当然のことです。
 バックナンバーをいくら整理しても、それは過去のもの。明日に活かせなければ余り意味はない。春に整理した、二十代の詩のように、元気を貰えるものでないといけない。体は年と共に衰えるかも知れないが、心は永遠の青年であり続けたい。
 
 
  今年も残り少なくなってきました。
 今年も残り少なくなってきました。僕の周辺でも激しくものごとが動きました。一番は義姉の死ですね。突然だったので、大変な年になるぞと思いました。そうなると、心が防衛的になり、積極的に外に出るとと言うことになりません。昔の詩を整理するとか、内向きになってしまいます。友達つきあいはいいので、それは一番の救いです。
 新しいのを開拓したのですが、それがて切る環境が整わないのです。詩も、ホームページも過去のものです。過去は未来のためにあるものです。昔の思い出に浸っているつもりはありません。内と外と色々な条件が整わなければ、新しい世界は切り開けません。来年も、この金融危機、年明けごろから響いてきそうです。仕方ありません。「小さな幸せ」をしっかり繋ぎ止め、大きく花開く時期を待つしかないようです。まだ弱いので萎んだり枯れたりしないように気を配りながら。
 
 

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