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起 床 転 滅 きしょうてんめつ ある朝
2010,2,1 麻梨
私の左耳から、かすかにいびきが聴こえる。寒波の最中、陽が昇り、少しずつ一日の暖かさが増してゆく朝の時。いびきがじょじょに大きく聴こえはじめ、寝起きにうろたえている自分がいた。━また、飲みすぎた。━
前の晩、えらい寒くてたくさん飲んじゃったからだ…。だけど、となりに居るのは…。
コウタロ先生だった…。
犬のくせにえらそうにしている。ふとんの中で、私のまくらをまくらにして高いびきなのだ。〝ぐお、ぐ、ぐ、ぐ、スゥ~、ぐぉ。〟
「いったいこいつは…、まったく朝っぱらから、飼い主の睡眠をさまたげよって、このやろ!」とばかりに逆にかみついてみるが、ふとんの中で耳をピコピコ動かし、もそもそとふとんを引っぱりながら、ふとんから出て、やたらでかい口であくびをし、全身をぷるぷるした後のびをしながら、まだ寝ぼけている途中の私の枕元でしっぽを振りながらおすわりをし、〝母ちゃん、お散歩。もしくは、先にごはん。〟と言っているのだ。ふとんの中で私がごねていると、頭の方から、〝ワンッ!〟と一声。ふとんをかぶりそのまましかとをすると、部屋中、ドタドタと歩きまわり、人が寝ているふとんの上まで来て、もっとバタバタとする。
まったく、なんつー犬だ。朝から犬とケンカが始まる。〝歯みがきしなさいッ。〟なんとか時間をかせぎ朝のコーヒーを入れるのにやっとふとんからはい出す。それまでは文句ブリブリ。コウタロ先生は、しぶしぶ歯みがきをはじめ、私がコーヒーをのみ終わり、機嫌が直るのをおすわりして待っているわけだ。しかし、腰の具合がおもわしくない。実は、散歩もかなりきつい状態。「あ~、やっぱり、コラーゲンかな?」 とつぶやくと先生は、首をかしげる。「おまえが猫だったら良かった…。」と、言ってはみるが、まったく理解していない様子。「ハイハイ、わかりました。散歩ですね。今日は、ゆっくり行って下さいね!コノヤロ、飼い主の言うことを聞けよっ。」と、ドアを開けて外の世界に飛びだしてゆく。でも、こいつのおかげで助かってるんだよな。何事も…。朝のお陽様は、相変わらずあったかい。少しずつ、春はやって来ているようで、近所の紅梅林は満開、梅の香の風が、まことにさわやかである。見るとうぐいすがたくさん枝にとまっていて、花の蜜を吸っている。話をしているみたい…。
「こっちの花はけっこう甘いよ。」とか…。
「コウタロ先生、風情があるもんでね。」
春の風景を見つけた…。寒いけど、やっぱりあったまる日本の風景です。これで道路がアスファルトでなく、土だったらなぁ。といつも思う。菜の花も咲いているし…ネ。
お家に着くと、さっそくごはん。ひととおり時間がすぎると、こちとら人間、いろいろ用事をこなしていかなければならない。
病院嫌いの私だけど、病院に行かなくちゃなんないし、役所も行かないと、(これは本当にヤボ用だけど、一応、主張はしないとね。)
朝の散歩の風景とは一転する。
でも、今の日本を支える(?)会社員の方々の出勤風景など、今の私にとっては、とても勇ましく思えるんだ。ストレス社会。いったい何が良いのか、わかんなくなってくる。
「うつ」にならない様にするには、『一輪の花。』
これは、効き目ありますよ。今日はバラ。
あー、早く春になんないかな…。ポカポカの…。早くも頭は脳天気。
よく言われる…。「あんたは平和でいいね。」そんな風に見えるのかな?カッコつけたいけれども… なかなか。ぶきっちょなもんで…。でも、ベランダのプランターに植えたチューリップやフリージャ達も少しずつ芽を出してきてるし、もっと暖かくなったら、お茶にするカモミールでも蒔くかな?パソコンも導入したいけど…。エンゲル係数が高いし、煩悩しまくり。
で、もって毎日をやり過ごすのでせいいっぱい。
んー、今日の夕飯は、キノコ流しそばにでもすっかな?うどんを打つと、けっこうストレス解消になるしなー。手で粉をぐにぐにやったり、足でふみつけたり…。(気分はカーリー神)
コウタロ先生がお風呂嫌いで、お風呂に連れていくと、思い切り、前足をつっぱって、「俺は、やだ!お風呂なんて…。」と、いった具合に抵抗してくれる。押し入れを少し空けておくのだけれど、「おふ…。」と言っただけで、サササーッ。と消えてしまうんだ。私の夢。
押し入れをあけると、そこは、(天然温泉個人的露天風呂だった…。)こんな具合にいかんかなー?。と、思いつつ、自転車に乗って腰痛をかかえながら出かけると、パンクした…。
全く、また出費だ…。(泣)自転車屋の手前だった。そのまま直行。泣きっつらにはちとはこの事だな。あーあ。これで、ちょっと落ち込み、下をうつむいて歩いてひろった宝くじが大当りだったらいいな。とか、考えていたりする私がいる。゛こらこら、あなた、笑っているんじゃないよ。゛家賃の支払いだっ。出費ばかり。
そう言えば、最近、ギターというものをもらってしまった。持っていたエレキギターを友達にあげたら、アコースティックが来てしまったなぁ。これで、私もいっちょまえの『アコギな人』になれる。
これで、うたい手になれる。うふふ。
♪ 「TOKYO UZI! KOKORO、PIKI、PIKI、ATAMA
SOWA SOWA、MEDAMA、KYORO、KYORO~~~
KE‐N‐KA‐SHINAIDE!」 ♪
これで人生、救われる。(かもしれない。)
やっぱりね。笑ってくれたらうれしいな…。
あ、コウタロ先生、ごはんですか?
おあとがよろしいようで…。 麻梨。
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