No86 prev home next

がまずみ

        

      









 がまずみ Viburnum dilatatum Thunb. 〔すいがずら科〕

 北海道から九州まで、およぴ朝鮮、支那にも分布し、いたるところの丘陵地、山地にみられるが、ときに人家にも植えられる落葉低木で高さ1.5~2.5mばかりに達し、若枝には毛がある。葉は対生し、葉身は広い倒卵形から円形の間で変化が多い。先は短くとがり、へりには不整の低いきょ歯があり,長さ3~12cm。幅2~8cm、葉裏とも毛がはえている。葉柄は1cm内外で托葉はない。初夏に多数の小白花を散房状に集めて開くが、花序は常に1対の葉がある短枝に頂生している。花冠は5深裂、雄しべは5本で花糸が長い。核果は卵形で長さ5mmほど、熟す時はじめ鮮紅色終りには暗赤色となり、甘ずっばいので子供がよくたべる。まれにある黄実のものをキンガマズミまたはキミノガマズミという。
 〔日本名〕語源はわかっていないが、スミは染の転訛で、この類ことにミヤマガマズミの果実で古く衣類をすり染めしたことと関係があろう、一説に神ッ実でオオカメノキとともに桃の渡来及びその説話と関係があろうという。
 〔漢名〕慣用の漢名を と書く。                          
           

-牧野植物図鑑-

 


 

 僕の小学生は昭和の三十年代。まだ貧しい日本、毎日おやつなどもらえなかった。でもその分僕らは山や川から特別のおやつを探してきた。秋は栗、アケビ、山葡萄、柿、秋茱萸と豊富であった。アケビや山葡萄は木に登ったり崖を登ったりしないといけないので年長にならないとなかなか取れない。大きく口の開いたアケビや大粒の山葡萄をとったときは得意満面で皆に見せて歩いた。

 その点がまずみは道側や土手の手の届くところにあり三年生ぐらいでもとることができた。あまずさが蘇ってくる。僕らは会津の方言で「ととめ」と呼んでいのだが、他ではなんと呼ぶのか分からず資料を探すのに苦労した。十月初めから霜の降る十一月半ばまであり、赤い小さな実は茶色に変色したの山によく目立った。すずめやいろいろな野鳥達もこれをついばんでいた。

 兄や姉の時代よりは甘味のお菓子が手にはいったが、今考えるとよくまあこんなものをおやつがわりに食べていたんだと感心する。

(まもる)

No86 prev home next