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 最も美しい果実

 ザクロの茂みから(小さいがきっぱりとした、鋭い) 声が聞こえてくる。
 「私の種は女主人の歯のように輝き、果実は女主人の胸のように丸い形をしている。私は彼女のお気に入りの、果樹園で最も美しい樹木で、季節ごとにいつも 最も美しい姿を見せている」

トリノ・パピルス、エジプト人、紀元前1世紀。

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鈴なりの 石榴いろづき 埃風の
  なかに揺るるよ その赤き実が    大橋松平


ざくろの実 いまだ青しと 待ちしより
  今日雨にぬるる 大き紅       佐藤佐太郎








  学  名
 Punica granatum(石榴)、Punica : ザクロ属、granatum : 粒状の

 Punica(プニカ)は、ラテン語の「punicus(カルタゴの)」が語源。ザクロの原産地がカルタゴだったのかも。
 (カルタゴは、北アフリカの今のチュニジアあたり)。

 リビアの国花。/ 「柘榴」とも書く。






薬効    せきどめ、下痢どめ

薬用部位      果皮、果汁

生薬名  柘榴皮(せきりゅうひ)



  



 男性陣の中にいる、唯一の女性のことを「紅一点」というが、これは、中国の王安石が、石榴の林の中に咲く花を詠んだ詩から出た言葉。




ざ く ろ      Punica Granatum L.    [ざくろ科]
 小アジア地方の原産で、通常庭園に栽培される落葉高木高さ10m以上に達し、幹はよく分枝し、若い枝は4稜があり、短枝の先はとげとなる。材は黄色。葉はほぼ対生して短かい葉柄があり、狭長楕円形あるいは長倒卵形で長さ4cmぐらい、全縁、つやがある。6月頃、こずえの先に多数の短かい柄のある花がつき,次々に開く。がくは筒状,多肉で多くは6裂し、表面はつやがあり、赤色,雌花ではややふくらみ、雄花では倒卵形。花弁は赤色、6個あり、質はうすく多少しわよる。多数の雄しべは花の口から出て、子房はがく筒と合着して下位。果実は球形で頭部に宿存がくの裂片が付着し, 果皮は黄色で厚く、不規則に裂開し、種子が現れる。種子は時々淡紅色で、外種皮がすきとおって、すっぱい液に富み食べられる。重弁花の品種をハナザクロと呼び、これに対し実を結ぶ品種をミザクロという。根は駆虫薬に使われる。
 〔日本名〕 石榴の音に基ずく。〔漢名〕安石榴。
-牧野植物図鑑-



  


 今回は万葉集を離れ、夏に花が咲く、小アジアの原産の果実、石榴にしました。万葉集の草花はほとんど載せました。これからは、誰でもが見る花や草を扱ってゆきましょう。  (ま)

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