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あしひきの、山かづらかげ、ましばにも、
   得えがたきかげを、置きや枯らさむ    
作者不明


あしひきの、山縵
やまかづらの子、今日行くと、
   我れに告つげせば、帰り来ましを     
作者不明


あしひきの 山縵
やまかづらの子 今日のごと
   いづれの隈を 見つつ来にけむ      
作者不明


見まく欲ほり、思ひしなへに、かづらかけ、
   かぐはし君を、相
あひ見つるかも

あしひきの、山下
やましたひかげ、かづらける、
   上にやさらに、梅をしのはむ    
二首 大伴家持

すべて万葉集






 この植物は祭事に用いられます。や似たものを祭事に用いる例がある。一説によれば、天岩戸の前でアメノウズメが踊った際に、この植物を素肌にまとったとも云われます。『古事記』には「天香山の日影蔓を手襁に懸け」とあります。

 京都の伏見稲荷大社の大山祭では、参拝者にお神酒とヒカゲノカズラが授与されます。同じく京都の賀茂別雷神社では、正月最初の卯の日に、ヒカゲノカズラを中心に用いた卯杖を社頭に飾り、祈願した卯杖は宮中に献上されます。また、奈良の率川神社では、ヒカゲカズラを頭に飾った舞姫が踊る「五節の舞」があります。

 大嘗祭や新嘗祭にもかつてはこれが用いられたと言います。2019年11月、大嘗宮の儀で、衛門(衛士)は、冠にヒゲノカズラをかざり、また天皇が通る雨儀御廊下は天井からヒカゲノカズラが吊り下げられていました。







ひかけのかずら                  〔ひかけのかずら科〕
Lycopodium clavatum L. var.nipponicum Nakai
  山麓の比較的明るい所にはえる多年生常緑草本。茎は針金状で緑色,長く地上をはい2mにも達し、しばしば分枝して、白色の根を出す。葉は輪生状、またはらせん状に配列して密生し、長さ4~6mm。幅0.5mmの小形の皮針形、または線状皮針形で緑色、硬質で光沢がある。先端は鋭くとがり、長い毛状となる。ふちには微きょ歯があり、顕著な中脈がある。子囊穂は、細茎〔はっている茎から分枝して直立し葉がまばらにつき高さ8~15cm〕上に2~4個生ずる。子囊穂は淡黄色、長さ3~4cmの円柱形。広卵形で先端が鋭くとがって長く伸びた胞子葉をらせん配列状に密生する、胞子葉は短柄があり、縁にはわずかにきょ歯がある。その上面基部に大型腎臓形の胞子囊を生じ、横に裂けて,黄色の胞子を出す。胞子を石松子といい、薬用とする。
 〔日本名〕日蔭の蔓は陰地に生ずるつる植物の意味。その他にキツネノタスキ(狐の標)、テングノタスキ、カミダスキ、ウサギノタスキ、ヤマウパノタスキ等の俗称がある。〔漢名〕石松 。
-牧野植物図鑑-






  万葉集に沢山読まれています。冬でも緑を保っているので、霊魂が強いと思われたのでしょうね。古代から様々な神事に使われて来ました。勉強なりました。     (ま)







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