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何時の間も 神さびけるか 香具山の
  鉾杉がもとにこけむすまでに       鴨足人


いにしへの 人の植ゑけむ 杉が枝えに
  かすみたなびく 春は来ぬらし      柿本人麻呂


うまさけを 三輪の祝
ほふりが いはふ杉
  手触れし罪か 君に逢ひがたき      丹波大女娘子
                 
三首は万葉集


東路の 関守る神の 手向けとて
  杉に矢たつる 足柄の山    
金槐和歌集  源実朝






 俳句では「杉の花」は春の季語です。今回は杉本体。神木として崇められていたことを重視して、晩秋のこの時期に載せました。






薬効 : 絆創膏の材料
薬用部位 : 樹脂
生薬名 : 杉脂(さんし)






 由来は、すくすくと生長する木の意味から「すぎの木」、また、幹がまっすぐ伸びることから「直木(すき)」が変化した、などの説がある。






 各地の杉の産地
 屋久杉、秋田杉、立山杉(富山県)、神宮杉(三重県)、北山杉(京都府)、奈良県の県の木(杉)、魚梁瀬杉(やなせすぎ 高知県)など。




す   ぎ            [すぎ科]

Cryptomeria japonica D. Don
 日本の特産で、全国各地に野生が見られるが、また広く栽培されている。野生は屋久島、羽後などにみられる。常緑の高木で、まっすぐな幹が直立してそびえ、高さ45m,直径2m位にもなる。枝や葉が密に着いている。葉は小形で鎌のような針形で、ラセン状にならぶ、雌雄同株、花は早春に開く雄花は長さ6~9mm、直径3mm位の小楕円形をしていて、枝の端に群生する。雌花は緑色で球形をしていて、小枝の端につく、球果は木質で卵状球形長さ2~3cm、包鱗と種鱗が中部まで融合している。 包鱗の先端は三角になっていて、ややそりかえっている。種鱗の先端は4~6個のきば状をしている。種子は種鱗の基部に2~5個直生し、翼をもつ.材の用途は広く、我国の主要樹木の一つ。
 〔日本名〕 スギは、幹が直立していることによる即ちす(直)き(木)。 又すくすくと立つ木の意味ともいわれる。古名マキ、〔漢名〕 倭木、杉はコウヨウザンのことである。 変種にヤワラスギ(葉がやわらかくて刺さない)、 ムレスギ(幹が根元から分れて傾いて立っている)がある。その他は次ページをみよ。
-牧野植物図鑑-



  今回は杉についてです。春先の花粉症は人災です。荒れた山を回復するために、早く成長する杉を植えすぎたこと。寄生虫規が激減して免疫システムが過剰反応するようになったためです。杉だけ植林した山は洪水に弱く、時々山崩れを起こします。自然の山では広葉樹の中に杉も自生しています。そちらの方が災害に強いのです。
 杉は日本原産。古来から神宿る木として崇められてきました。神社の鎮守の森に杉が多いのはそのためです。巨木となり神社の守り神として各地で崇められています。    (ま)



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