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黄葉の にほひは繁し しかれども
         妻梨の木を 手折りかざさむ

露霜の 寒き夕の 秋風に
         もみちにけらし 妻梨の木は

梨棗黍に 粟つぎ延ふ 葛の後も
             逢はむと 葵花咲く


                  万葉集  三首とも作者不明








      学名: Pyrus pyrifolia var. culta

 Pyrus : ナシ属、pyrifolia : ナシ属(Pyrus)のような葉の culta : 栽培の。Pyrus(パイラス)は、ラテン古名で「ナシの木」の意味。
 (恐らく牧野さんの時代後学名変更があったのでしょう。)


 風があると実が実らないことから 「風なし」、これがしだいに変化して 「なし」になった。「梨」は漢名。




 




原産地:チベットの山地

 梨はバラ科に属し、バラ科サクラ属とナシ属とに分かれます。バラ科サクラ属の果物としてアンズ、ウメ、サクランボ、スモモ、モモなど。  ナシ属は、西洋梨、中国梨、日本梨とに分かれます。

 弥生時代にはすでに食べられていた。日本書紀にも栽培の記述が残っております。








薬効 : せきどめ

薬用部位:葉、果汁








歌舞伎界を「梨園」の呼ぶのか?

 元々は、演劇会のことを「梨園」と呼んだ。中国が唐の時代に玄宗皇帝が梨の花の咲きあふれる中で役者に芝居を教えた。江戸時代の国文学者が「梨園」と使いはじめた。









な   し   (ありのみ)
Pyrus serotina Rehder     〔ばら科〕
 普通に栽培されている果樹、大きなものは高木となる。枝は黒紫色でなめらか、小枝は時にはとげに変る。また短枝もある。葉は互生して卵円形、鋭失頭で尾状に伸びる。基部は円形、ふちには細い針状のきょ歯がある。葉面は深縁色、成葉ではなめらかである。葉柄は細長く、ほぼ葉身の長さに匹敵する。托葉は細長く早落性、花は5~10個が短枝の先端に散房状につき、花径3.5~4cm,花柄は長い。がく筒は小さく西洋ごま形がく片は針形、長さ7mmぐらいでふちにはきょ歯があり、きょ歯の先端は腺状、花弁は5、白色、倒卵円形あるいは円形波状にしわがよっている。花柱は5、それぞれ分立する。雄しべは20本ぐらい,やくは紫色をおびる。梨果は1果序に1~2個つき、径2~9cm、果皮は黄褐色で皮目が多い。春の終り頃に開花して、仲秋の月見の頃に成熟する。品種が多い。  
 〔日本名〕 ナシの語源は不明。有の実はナシを“無し”にかけ、忌み嫌って反対語のアリの名をつけたもの。
-牧野植物図鑑-



 これから晩秋ですが秋ということで、実の方を重きを置いて梨です。チベット原産で中国経由で日本に入って果物ですが、弥生時代には食べられていた古い果物です。二十世紀梨は千葉県松戸で開発された青梨。砂地に適しているので鳥取の名産品になった。今住んでいる多摩地区は赤梨の長十郎が名物です。(ま)


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