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君が行 日長くなりぬ 山多豆の
     迎へを往
かむ 待つには待たじ
    
山多豆(やまたづ=にわとこ)    万葉集 衣通王

白雲の、龍田の山の、露霜
つゆしもに、色づく時に、
うち越えて、旅行く君は、五百重山
いほへやま
い行きさくみ、敵
あた守る、筑紫に至り、山のそき、
野のそき見よと、伴
ともの部を、班あかち遣つかはし、
山彦の、答へむ極
きはみ、たにぐくの、さ渡る極み、
国形
くにかたを、見したまひて、冬こもり、
春さりゆかば、飛ぶ鳥の、早く来まさね 、
龍田道
たつたぢの、岡辺の道に、丹つつじの、
にほはむ時の、桜花、咲きなむ時に、山たづの、
迎へ参ゐ出む、君が来まさば   
万葉集 高橋虫麻呂






接骨木 (にわとこ)(庭床、庭常とも書く)

   枝、幹、葉の煎液(せんえき)を、
   骨折や打撲の治療に用いることから、
   「骨」を「接続」する「木」という名前になった。






 学名 : Sambucus sieboldiana

   Sambucus : ニワトコ属
   sieboldiana :
日本植物の研究者「シーボルト」さんの

Sambucus(サンバッカス)はギリシャ語の「sambuce(古代の楽器)」が語源。
枝が林立したようすがこの楽器に似ていることかららしい。







 生薬名 :「接骨木(せっこつぼく)」
   薬効:打撲、腎炎、水腫 / 薬用部位:茎

 生薬名 :「接骨木花(せっこつぼくか)」
   薬効:風邪 / 薬用部位 花







にわとこ   (接骨木、庭床、庭常)
Sambucus Sieboldiana Blume     〔すいかずら科〕
 本州、四国、九州にふつうであり,また北支那にも 産するといわれる大形の落葉低木。高さ3~5mほどに達し生長が早い。枝は質が柔かで褐色の太い髄がある。葉は対生し3~5対の奇数羽状複葉で無毛、小葉は長さ6~12cmばかりの皮針形または長楕円形で、先はとがり、ヘりには細かいきょ歯がある。日本中部では最も早く春新芽を出す植物で、小枝の先に多数の細かい緑がかった白花をつけ散房花予をつくる。花冠は深く5裂し、径3~4mm、雄しべ5本、雌しべ1個である。液果は赤色に熟し、球形または楕円形で長さ約4mm.変化品が多く、果実が黄色のものにはキミノニワトコの名があり、花序のこぶ状突起が発達し毛状になるものはエゾニワトコといい、本州中部以北、東亜温帯に分布する。また全体小形でしかも茎は伏う性質があって高さは2m以内のものにミヤマニワトコやナガエニワトコがある。葉を民間薬に使用する。髄は太いので植物の実験に柔軟な組織の切片をかみそりで切るときの支えによく使われる。
 [日本名] 語源ははっきりしはない。[漢名] 慣用の漢名として接骨木がよく使われる。       
-牧野植物図鑑-







 今回はニワトコです。僕はあまり馴染みなかったのですが、古くから薬として使われて来ました。

 色々調べていると、宝塚歌劇団の「すみれの花咲く頃」と言う歌は、ドイツの「なんと驚いた、1000人の女」と言う劇中歌で、フランス語に翻訳され「白いリラの花咲くとき」と言う歌です。リラ、ライラックは、北ドイツでは、ニワトコ属の花の総称だそうです。ニワトコ→リラ→すみれと歌詞が変わったのです。

 またハリーポッターの魔法の杖もニワトコの枝、洋の東西を問わず薬として広く使われてきたからです。(ま)


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