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萩の花 尾花葛花 なでしこの花
    をみなへし また 藤袴 朝顔の花  
万葉集  山上憶良


やどりせし 人のかたみか 藤袴
    わすられがたき 香ににほひつつ    
古今集  紀貫之


おなじ野の 露にやつるる 藤袴
    あはれはかけよ かごとばかりも    
『源氏物語』「藤袴」


たれかみし 夢の枕の ふぢばかま
    にほひもふかき 夜半のなごりを  
実材母集 西園寺実材母


藤袴 きて脱ぎかけし 主や誰
    問へどこたへず 野辺の秋風      
金槐和歌集 源実朝



 




花言葉は : 「ためらい」「遅延」

フジバカマ誕生花 : 9月28日、11月6日








  フジバカマの香り : フジバカマは生草のままでは無香ですが、茎や葉を乾燥させるとさくら餅の葉のような芳香を放ちます。平安時代の女性は、これを干した茎や葉っぱを水につけて髪を洗った。
 また、防虫剤、芳香剤、としても使った。




  ふじばかま   Eupatorium stoechadosmum Hance    〔きく科〕 
 
 関東地方以西の日本および朝鮮、支那に分布し、河べりの土手などにはえる多年草だが、観賞のためしばしば庭園に植えられる。地下茎は長く横にはい、地上茎は多く集まって直立し,高さ1mあまり、円柱形で下部は無毛.葉は対生し、ふつう3深裂し、上部の葉はしばしば単一、へりにきょ歯があり、短かい柄があり、質はやや硬く、上面は多少光沢があり、生がわきの時は芳香がある。8~9月ごろ茎先に淡紅紫色の頭花を散房状に密につける。頭花は少数(5個)の管状花からなり、花柱は長く2岐することは同属の他種と同じ。冠毛は白色または汚白色。秋の七草の一つで、せんじてのめば利尿に効果がある。支那では有名な草で、香気があるので身につけ、浴湯に入れ,また頭髪を洗うのに使用したものである。
 〔漢名〕 蘭草だが香草または香水蘭などの別名がある。本種は奈良時代に支那から日本へ来て帰化したものだと思われる。
-牧野植物図鑑-




   




 馴染みの薄い秋の七草です。奈良時代に日本に渡って来たとか、調べて真相が分かって来た。山上憶良が歌に読んだ事により知れ渡り、平安女性が薬草として愛したので、秋の七草の一つに数えられるようになった。という事です。  ここで気付くのは、春の七草は食べる事に重点があり、秋の七草は花や香りを楽しむのに重さを置いています。日本人の季節感の面白い対比です。

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