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いもが名は、千代に流れむ、姫島の、
   小松が末
うれに、蘿こけすまでに   河辺宮人かはへのみやひと

いつの間も、神さびけるか、香具山の、
   桙
ほこ杉の本もとに、苔生すまでに   鴨足人かものきみたるひと

奥山の、岩に苔生
し、畏かしこくも、
   問ひたまふかも、思ひあへなくに     葛井広成
ふじいのひろなり

み吉野の、青根が岳の、蘿
こけむしろ、
   誰れか織
りけむ、経緯たてぬきなしに          作者: 不明

安太あだへ行く、小為手をすての山の、 真木まきの葉も、
   久しく見ねば、   蘿
こけしにけり          作者: 不明
    








みずごけ (おおみずごけ)  Sphagnum palustre L.   〔蘚類〕
 各地の湿原や腐植士上に群生して生育する。植物体は淡緑色、しぱしば赤味をおぴることがある。茎はまっすぐに立ち、茎の横断面では外層の3細胞層は大形でらせん状に膜が厚くなっている。枝は集まって生じ、その内2本は茎にそって垂れ下る。茎葉は離れてつき舌形で先端部は基部より少しく広い(附図2〉枝の葉は密につき広卵形、中くぽみとなり先端は鈍頭でへりは少しく内側に捲く、枝の葉の横断面では葉緑体を含む細胞は梯形で幅はぜまいが葉緑体のない細胞は大形でやや方形に近く、少しく腹面にふくらんでいる。雌雄異株。胞千嚢は茎の先端に集まって出た枝の先につく。日本にはミズゴケ類は約50種を産し、すぺて保水力が大きいので植物の根を包むのに使う。この保水カは葉緑体を持たない細胞の内部が空洞でここに水が入るためである。ミズゴケの名もこれに基ずく。 1.全形。2.茎葉。3.枝の葉(上は自然状態、下は平らにしたもの)。4.枝の葉の横断面。5.胞子嚢をつけた枝。
-牧野植物図鑑-








  今回は苔全般です。正月にふさわしい植物です。「苔生す」とは長い時間という意味で、永遠を表す言葉です。
  山梨にいる頃、良く富士山麓の青木ヶ原の樹海の中に遊びに行きました。あそこは苔の世界なのです。木の根や岩を苔がびっしり埋め尽くしています。そこに居るだけで心が癒されるのです。一度手塚君の棲んでいる屋久島に行った際、彼に森に連れて行ってもらいました。屋久島の森は青木ヶ原樹海より原始の森が残っていて、苔も大きくとても感動しました。
  かって日本は世界有数の大森林で、屋久島のような森が日本全土を覆っていたのです。そして、その森はびっしり苔で埋め尽くされていたのです。
(ま)ももももももも






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