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梅の花、散らまく惜しみ、我が園の、竹の林に、
       鴬鳴くも    小監阿氏奥嶋
せうけんあじのおくしま


いもらがり、我が通ひ道の、小竹しのすすき、
  我れし通はば、靡
なびけ小竹原しのはら   作者: 不明


池の辺の、小槻をつきの下の、小竹しのな刈りそね、
       それをだに、君が形見に、見つつ偲
しのはむ
                      柿本人麻呂



小竹しのの上に、来て鳴く鳥、目を安やすみ、
  人妻
ひとづまゆゑに、我われ恋こひにけり  作者: 不明

意味: 篠(しの)の上に来て鳴く鳥のように、見た感じがとてもいいので、人妻なのに恋してしまいました。


わが屋戸やどの、いささ群竹むらたけ、吹く風の音の、
         かそけきこの夕かも    大伴家持





 




め だ け      〔いね科〕
(おんなだけ、にがたけ、かわたけ、なよだけ)
Pleioblastus Simonii Nakai (=Arundinaria Simonii A. et C. Riv.)

 丘陵河岸海辺等にはえる普通の常緑竹で、薮を作り繁茂する。地下茎は地中を横走し、その側枝は地上に出て直立し稈となる。稈は高さ 3~6m 、直径約 1~3cm 、中空の円筒形、緑色で滑らか、上部は密に分枝し、節は低く節間は長く 15cm 内外ある。枝は節に5~7本つく。葉は掌状に枝先から斜に開き、細長い楕円状皮針形、先端は長く尾状に鋭く尖り、基部は急にせばまる。縁に細かいきょ歯があり、長さは約 10~25cm ある。葉の両面や葉鞘には毛がない。筍は5月頃出て、皮は暗緑色で後に白黄色と変り、稈を堅く巻いて脱落しない。時々開花してのち枯死する、花穂は稈の先瑞ならぴに枝先に束生して密集し、一般に古い竹の皮を伴っている。皮針形で尖った 15mm 内外の花が5~11個からなる小花穂は線形扁平で長さは約 3~10cm である。包頴は2片で小形。護頴は大きく、先は尖り、内穎には2竜骨がある。鱗被、雄しベ、花柱はおのおの3個、穎果は長楕円形で尖り長さ 14mm 。
 〔日本名〕メダケは女竹でマダケの男竹に対し小形のところからいう。 
-牧野植物図鑑-




  




 竹は古来より冬に緑をつけることで神聖視されてきた。古代は真竹、孟宗竹より、女竹や篠と言った小降りの竹が愛されたらしい。万葉集に恋愛や相聞の歌として小竹が沢山出てくるのは、それだけ身近かで親しみやすい植物だったと言うことである。  (ま)


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