prev home next











土筆 煮て飯くふ 夜の台所      正岡子規


土筆摘む 野は照りながら 山の雨   嶋田青峰


土筆野や よろこぶ母に つみあます 長谷川かな女


白紙に 土筆の花粉 うすみどり    後藤夜半


まま事の飯も おさいも 土筆かな   星野立子






   


 「土筆(つくし)」は春の山菜として親しまれている。袴を取って茹でて灰汁を抜き、だしで軟らかく煮たり、佃煮にしたりして食用とする。
 生薬名を問荊(もんけい)といい利尿作用がある。花粉症対策としての土筆の効能にも最近注目が集まっている。


   


 胞子体(土筆)の穂を放置すると、緑色を帯びたほこりの様なものがたくさん出て来る。これが胞子である。顕微鏡下で見ると、胞子は球形で、2本の紐(4本に見えるが実際は2本)が1ヵ所から四方に伸びている。この紐は湿気を帯びると瞬時に胞子に巻きつき、乾燥すると広がる。顕微鏡下に胞子の集団を捕らえておき、そっと息をかけると、瞬間に胞子は縮まり、放置すると次第に広がるのは、理科(生物)の授業での、生徒への演示には打って付けである。





すぎな  Equisetum arvense L.  〔とくさ科〕

  至る所の原野、道端等にはえる多年生草本。地下茎は長く地中を横走して暗褐色をなし、節から地上茎を出す。また節部に細かい毛のある小塊ができる。地上茎には栄養茎と胞子茎の2型がある。栄養茎は高さ約30cm~40cm。緑色中空の円柱状で、縦に隆起した線がとおり、節部から多くの枝を輪生状に密生し、節には退化縮小した舌状葉がさや状にゆ着してつく。輪生している小枝は四角柱状で節に先端が4裂するさや状の葉をもつ。
  春早く地下茎から、胞子茎(つくし)を出し、これは淡褐色の平滑で軟かい円柱茎で、高さ10cm~25cm。先が歯片状に裂けたさや状に退化した葉を節から生じ、小枝ははえない。茎頂に長楕円体の胞子穂をつけ、たて状六角形の胞子葉を密生し、胞子葉の下面に数個の胞子嚢をつけ、中に淡緑色の胞子を生ずる。胞子には4本の弾絲がついており、湿めれば、巻き、乾げばほどける運動をする。  夏に栄養茎の頂部に胞子穂をつけることがあり、これをミモチスギナというが特定の品種ではない。小枝が三角柱状のものをオクエゾスギナ(var. boreale Rupr.)といい、北海道、本州北部の山地に多く知られる。
  昔からツクシを土筆と書くのは日本名であり、支那では筆頭菜という。ツクシを食用とするし、スギナの若葉も食べられる。スギナ(杉菜)とはその形状が杉に似ていることによる。
〔漢名〕間荊。        -牧野植物図鑑-



   


 だんだん身近なこの季節、冬から早春の植物が少なくなってくる。
 右はスギナの胞子、水分を含んで広がった写真。今回スギナの元のトクサについて調べてみた。漢字では木賊、砥草とかく、茎にケイ酸が貯まり堅くなり、砥石に使われたことからこの名が付いた。この仲間は広く、シダ植物の一部。過去の石炭紀のロボクはこの仲間。シダ植物は動物のは虫類に相当する。もう気持ちは「早く来い来い春」です。(M)

prev home next