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 かきつばた                         かきつばた 




かきつばた 衣きぬに摺りつけ 大夫ますらを
着襲きそひ猟かりする 月は来にけり
大伴家持 万葉集




から衣 着つつなれにし つましあれば
はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ
在原業平 (伊勢物語)
「か」「き」「つ」「は」「た」の5文字が、それぞれの句の先頭にある。




神山こうやまや 大田の沢の かきつばた
ふかきたのみは 色に見ゆらむ
藤原俊成




わが恋は 人とる沼の 花菖蒲はなあやめ
泉鏡花




    
 かきつばた                            あやめ 






 見分け方 

 文 目 (あやめ) 
 か き つ ば た 
 花 菖 蒲 
 乾いた土に生え、5月頃咲く。   水中に生え、5月頃咲く。   湿地に生え、6月に咲く。 
 花弁の中央に網目模様がある。   花弁の中央に白い筋がある。   花弁の中央に黄色い筋がある。 
 葉は細く長い。   葉は幅広で長い。    葉の表面中央に突起した筋あり。  






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 花 菖 蒲                           花 菖 蒲 




かきつばた      Iris laevigata Fisch.      〔あやめ科〕


 中部以北の水湿地こ群生する多年生草本。支那こも分布する、高さ50~70cm位。草花として池辺等にも栽培する。根茎は横向し多脚的に分技し旧繊維を残す。茎は円柱形で直立し緑色、脚部に2列に扇状に葉をつけ、上部には途中に1葉がある。葉は剣状広線形で尖り、基部はさやとなって茎をかこみ、質柔かく隆起した中脈がなく幅2~3cmで高さは花茎をこえるものもある。初夏に茎項の直立した2個の鞘包間から普通つぽみを三つ順次に出し、小柄のある濃紫色の花を開く。外花被3片は舷部の長さ6~7cm位で垂れ、楕円形で鈍頭、下部の中央は黄色、基部の爪部は舷部の長さの半分である。内花被3片は直立した倒皮針形で、先が少し尖っている。雄しぺ3個は花柱分技の脊面にあり、やくは外向きで白色。花柱分技は3個、先が2個にわれ、裂片はやや楕円形で切れ込みなく、その下に柱頭がある。下位子房は狭長。さく果は長さ5cmの鈍3稜の長楕円体で両端は尖らず、3片に裂開する。種子は半円形褐色、平滑で光沢がある。園芸品に花白色のシロカキツバタ、紫斑のあるワシノオがある。
 〔日本名〕書き附け花の意でその転化である。書き附けとは、こすりつけることで花汁で布をこすり染める昔の行事である。
〔漢名〕燕子花を用いるのは謀りでこれはオオヒエンソウであり、杜若も正体はアオノクマタケランである。

-牧野植物図鑑-





         
 花 菖 蒲                          花 菖 蒲 




  今回はカキツバタをメインにしたが、今だに文目(あやめ)とカキツバタと花菖蒲の区別が付かない。陸に咲いているか池に咲いているかぐらいでしか区別できない。平安貴族達が愛した雨の季節のこの花々、この赤紫は高貴な色です。紫という色は難しく、この花々の雨に映えるみずみずしさは分かるが、それ以外ではなかなか使えない。病的になってしまうからです。だからだから好きな色の一つです。(M)





カキツバタ 

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