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たんぽぽ花咲り三々五々五々は黄に
憐ミとる蒲公茎短して乳をあませり
蕪村   


車輪繕う地のたんぽゝに頬つけて
寺山修司 


農歌舞伎草の坐敷の鼓草
仁井一路 
( 鼓草 つつみぐさ・蒲公英の別名 )


たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ
坪内稔典









      

西洋たんぽぽ      関東たんぽぽ


 よく見かけるタンポポは「西洋タンポポ」です。日本産のタンポポは萼片が反り返っていないので区別は容易です。日本のタンポポは絶滅するのではないかと危惧された時期もあったが、今は外来種と平衡を保っている。日本産のタンポポは地域別に蝦夷タンポポ、関東タンポポ、関西タンポポなどがありまする。
 ヨーロッパでは春の手近な山菜として珍重されている。サラダ、天ぷらとおいしいですよ。是非試してみてください。









  たんぽぽ(あずまたんぽぽ、かんとうたんぽぽ) 〔きく科〕
Taraxacum platycarpum Dahlst.
 本州(関東地方、山梨およぴ静岡県)の野原や道ばたなどに最も普通の多年草で、早春から、根生の葉を多数ロゼット状に出す。葉は倒皮針形で、羽状に深裂または欠刻があり、軟かい、3~4月ごろ、葉の間から根生の花茎を伸ばし高さ15~30cmぐらいで、上端に長いちぢれた綿毛があり、黄色の頭花か頂生する。頭花は径3.5~4.5cm、花はすべて舌状花冠で、その先は切形、浅い5歯がある。花後にそう果は褐色になり、上部が小柄状に伸びて頂に白色の冠毛がある。そう果のふくらみの部分は長さ5mmぐらい、上部には刺状の突起がある。総包外片は緑色で内片の長さの約2分の1、内片と同じく上部にいちぢるしい角状の突起があって外側へ反曲しない。タンポポの仲間は種類が多いが一般では区別なしに葉を食用とし、また根を健胃剤に用いている。
 〔日本名〕タンポポの語原はおそらくタンポ穂の意で、球形の果実穂からタンポ(布で綿をくるんで丸めたもの。拓本などに使う)を想像したものであろう。古名タナ、フジナ。
 〔漢名〕タンポポの類を蒲公英という。                        
-牧野植物図鑑-









  黄色い可愛いい小さな花もいいが、僕は白い絮わた坊主になった花が好きです。 そよ風に飛んでいる絮の落下傘を付けた種などは詩情を誘ってなんとともいえない。インターネットでタンポポの句を探していたら、寺山修司の句を見つけた。普通の詩人ではない力がある。
  古来から近世までタンポポを読んだ歌は少ない、蕪村ぐらいである。桜や桃など伝統的な日本の春の美意識から外れた花である。そんな意味でも蕪村はおもしろい。強烈な黄色で迫るこの小さい花を、画家、蕪村の目は無視することができなかったのだと思う。(M)
 

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