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      医者の選び方  その後
こまきみどり
 
 4人目の医者との出会いは、最悪だった。
 2004年の夏は異常気象というか、温暖化の影響などで、当然の帰結というか、炎熱地獄がつづいていた。これからは去年の夏の方が涼しかったと言い続けることになるのだろう。気分が悪くなり、病院にかけ込む人もふえ、医者はますます忙しく、診療も時間に追われ、1人10分が5分になり、患者の言うことなんか聞いていられないのがふつうになるのだろう。患者ではなく、検査結果だけを見て診断し、薬を出すことになるのかと思うとおそろしい気がする。とくに若い医者には経験がなく、検査結果も見る目がないと思われる。それ以上に、患者とのコミュニケーションが技術として習得されることがないだろう。だいたい、先生と呼ばれるようになると勘違いしてしまう人間が多過ぎやしないか。結論を先に言えば、健康でなければ、病院には行けないということだ。
 近所のM医院の紹介状をもって、国立病院に行ったのは朝から気温30度を超える7月7日だった。こういうときは冷房がものすごいだろうと藍染めの絹のショールを持っていったのは正解だった。8時30分には受付をすませ待つこと3時間、いいかげんうんざりして病気になりそうだ。もともと血液沈降速度の値が高くCRPという検査で血液に炎症が起きているということもわかっている。思考停止の状態になる。お昼近くなればおなかもすいてくる。すっかりあきらめたところで名前を呼ばれた。
 
 「時間がないので、先に血液検査、レントゲン、尿検査をして、もどってきてください。」
 
 と、若くて太り気味の独断的な医者に言われ、メモしてきた病歴など聞いてもらえないまま、検査をすませ、またもどって待ち続ける。3時すぎている。情けない気持ちになり、弱気になる。病気がつらいのではなく、この扱われ方がつらい。しかし、医者という仕事もストレスがたまり、やってられないだろうなあと今は思う。血液検査の結果がでていないものがあった。それこそ知りたい検査ではなかったのか。患者が見てもわからないだろうと、その他の検査結果の説明もなく、なにも知らされず、病名も決まらず、来週の予約を入れた。さすがに時間外の8時50分という時間にしてくれた。しかし、わたしは、もう来たくないといい、近所のM医院に逆紹介を頼んだ。
 近所に信頼できる主治医がいれば、それがいちばんいい。自分のことは自分で決められるようになりたいものだ。でも14000円も払って検査結果を聞かないのは損だから、行くことにして帰ってきた。
 
 ここまで書いたところで、ふじのアート収穫祭に行った。芸術の家で、10月2日、3日の2日間おもしろいイベントがあった。3日は1日中雨だったが、「顔ス展」など見て楽しみ、音楽もおもしろく聴くことができた。キノコの写真の手作りのカレンダーを買った。猫の絵のTシャツを買った。それ以上によかったのは多くの友人に会えたことだった。しかもなぜか、「乱蘭通信」を読んでいる人が多いらしい。いろいろな人に心配していただいてしまった。意外な人が意外な関係でつながっているのだろうか。知らないのはわたしだけらしい。これからは気をつけて少し気取った文章になるかもしれない。油断して本音をぶちまけ過ぎかもな。今さら気取っても知られすぎているのか。わたしはだれ、ってかんじ。今は、リウマチおばさんにすぎないけれど、死を意識すると人は変わるのだ。楽しいことをしようと思ったら、それはアートだったのだ。これからは市民運動やボランティアより、個としてアートな世界に参加したいと思っている。どうぞよろしく。
 
 さて、免疫力を高め、健康に過ごすためには3つの法則がある。いいものを食べること、よく寝ること、ストレスを解消すること。この3つが大切なことだということは誰でもわかっていると思うが、しっかり実行できる人はマリナーズのイチローぐらいではないだろうか。かなりストイックな暮らしになるから、芸術家にはむずかしい課題だろう。くそ暑い夏にビールを飲まずにいられるだろうか。脂肪をとらない、肉を食べない、夜は早く寝る。そして、ストレスはすぐ解消する。病気の多くはストレスが原因のようだ。もともと素因はあっても、発病するには原因がある。
 思い出せば、3月20日、イラク攻撃から1年目、土砂降りの中、日比谷野外音楽堂のワールドピースナウ主催の集会に行った。12時には着いて、3時まで傘をさして、?2・5度の寒さの中にいた。7000人ぐらいが傘をさしてじっと寒さに耐えてイラク市民を思っていた。手も足も凍え感覚がなくなり、麻痺してしまった。その後のパレードで東京駅まで歩けるのはうれしいぐらいだった。ずぶぬれのトトロの着ぐるみを着ていたわたしは東京駅のトイレで着替えたのだが、なにか1人孤独で滑稽だったかもしれない。疲れて翌日は寝込んでしまった。4月にはイラク人質事件が起きた。アルジャジーラにメールを送信したり、できる限りのことをした。眠れないので眠剤を飲んだ。
 ストレスが解消されることはなく、たまっていった。さらに、相模原にあるキャンプ座間にワシントンからアメリカ陸軍が3000人も移転して来るという。しかも、陸軍の司令部がすぐそばに来ることになる。横須賀は事実上の海軍母港、そして沖縄を忘れるわけには行かない。頭に血が上るのはわたしの性格がおかしいのだろうか。
 
 免疫異常について知る限りのことを書いてみよう。
 免疫とは体外から進入してきた外敵をふせぐしくみです。風邪をひいたら熱を出したりして治す力を免疫力というわけです。血液中の白血球や、リンパ球が働くわけです。
 免疫不全というと薬害エイズで有名になったHIVということで治す力がないということになります。免疫異常は自分の中にあるものを外敵とまちがえて、攻撃してしまい病気を引き起こします。ですからいろいろな病気がありますが、総称して膠原病といい、リウマチもそのうちのひとつの症状です。免疫異常になる原因は不明ですが、ストレスや、過労、ある種の細菌か、ウィルス、または遺伝的要因が考えられます。
 最近ふえているのは、私見ですが化学物質が関わっていると思います。大気汚染、水質汚染、食べ物が農薬に汚染され、米まで田んぼからカドミウムが検出され、日本全国、山も海もゴミだらけで健康でいられる方が異常かもしれません。血液の病気なので、全身疾患として症状は多彩です。わたしの場合は五十肩から始まり手指がこわばり、回帰性リウマチが発見されましたが、だるいとか、熱っぽいとか、体がこわばったかんじとか、どこか関節が痛いとか肝臓が心配なひとは近くの医療機関で血液検査をしてみてはいかがでしょう。血沈とCRP検査で炎症があるかどうかわかります。
 
 藤野にお住まいの方は山に野ブドウが自生していると思います。葉と茎と実を細かく刻んで煎じて飲むといいですよ。免疫力が高まり、自然治癒するかもしれません。わたしはホワイトリカー35度に漬けて3カ月待つことにしました。楽しみがふえるとストレスが溜まらないようです。温熱療法や温泉もいいですね。ではみなさんお元気で。

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