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   薫風、爽やかなれど
 
 
ゆっくり、ゆっくりペダルをこぐ
ほたる通りから急勾配の小路を下り
住宅地を少し行くと河川敷です。
空は青く澄み渡り、遠くに白い雲
風は強く、緑の木々や草を波うたせています。
 
木々を吹き抜けた緑の風は
初夏の強い光に輝き
無機質なコンクリートの橋までも
あたかも大きな生命の一部かのように
解け込ませています。
 
何と、美しい季節でしょうか。
何と、快こころよく眩しい、光と風でしょうか。
 
 
    いいんでしょうかねぇ、僕は
    こんなことをしていて、
    もっと何かやるべきことあるうな
 
 
ビューッと若者の一団を追い抜く
僕は歩くほどのスピードで
ゆっくりゆっくり、
サイクリングロードをゆく。
左は花の終わった桜並木の緑、
右は広々と広がる河川敷の公園。
 
向こう岸には家々が小さく見え、
更に青い山々とつながり、
その上に真っ白い雲が浮かんでいます。
 
お弁当を広げたり、遊び回ったり、
カップルや家族達の思い思い姿が
緑の芝生の上に広がっています。
 
何と、爽やかな空気でしょうか。
この緑の季節に、何もが喜びに満ちています。
 
 
   いいんでしょうかねぇー、僕は
   何もかもお金のないせいにして
   もっとすべきことが
 
 
土手を下くだり小道に入った。
ここは公園に続く林の中
まだ去年の大水の傷跡が残っています。
 
その木々の陰にホームレスの
ブルーのテントがひっそりと見えます。
林の向こうは石だらけの川原
水辺で子供たちが遊んでいます。
 
それにしても何とまあ、澄んだ青空でしょう。
昨夜の雨が、塵を全部洗い流してくれました。
 
 
     あまりにも美しい光と風に
     僕の心は付いて行けません。
     だから、こんなわだかまりを
         感じるのでしょうか。

4/27 2009 Mamoru Muto


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