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こんな時だからこそ
2008 12/25
 
 このくそ寒いさなか、不況、不況で、人の心は不響和音。この間、新宿に用事があり、やっとこ出かけた。年末の新宿も、イルミネーションはピカピカと輝いてはいるが、今いちの感じ。学生の頃の新宿とは、うって変わっている。年とったんかな?こういう街では、一人でBEERも飲む気もしない。それにしても、公衆電話の数は減っている。
 はー、携帯電話の普及のたまものだな。と思いつつ、歩き、電車に乗り、池袋へ。
 降りる。まぁ、こっちの方が今日はにぎやかなのかな?街中まちなかではバンド演奏をしている音。あー、こりゃ、JAZZっていますね。
 夜9時すぎ、東口。目白方面へ歩いていく、やっぱり人ごみは苦手。雑踏をぬけ、目白方面へ、コーヒー屋に入りコーヒーを注文するが、飲んでもあんまりおちつかない。本でも持ってくるんだったなぁ。
 
 あ、そうだ、昔、学生の頃住んでたアパートあるかな?と、思い、行って見る事にした。
 コーヒー屋も出て、徒歩5分。やたら大きい、老人いこいのビルの近く。(こんなの出来たんだぁ)
 「あった!」まだ生きのこっているボロボロ(になっちゃた)のアパート、入り口は、サッシの玄関になっていた。ここの2階のいちばん陽当たりの良い場所に住んでいた。やっぱり、誰か住んでいる。(あたりまえだけど…)記憶が30年ほどさかのぼる。
 実家を出て、自活。昼間はバイトに明け暮れ夜は、彫金の学校と、それを終了してから陶芸。元禄げんろくずしで、23皿食べたとか、あまり飲めないのに、やっぱり友達と大酒を飲んで翌日の二日酔いでひどいめにあい、寝込んでいた事とか、2、3日徹夜して、へのかっぱ。せまい台所(自分の部屋のガラガラ戸を開け、くつをぬいだ所に小さい流しとガス台がある。)そこで毎日、ごはんを自分でつくっていた。6畳間。けっこう快適な部屋だった。
 陽当たりがいいから、休みの日は、ふとんを干してもふかふかになるし、ブルーのカーペットは新品で、そこで、ステレオをかけてゴロゴロしていると海の上いる様な気分になるのだ。当時の友達は、やっぱり、演劇にはまっている子とか、(それも自主映画)アンダーグランドは実に面白かった。
 なんて高尚なあほなのだのだろう!いつも大笑いしていたものだ。毎週、土曜日の夜中になると、なんと、三浦半島もしくは、湘南の海に、友人とくり出していた。新宿でDJをしている子、演劇をやっている子、東上線の女子大生、慶応大の車持ち運転係と私。いつもひろいものをしていた。コカコーラのビンケース木でできている。)これは、棚にする。
 デパートの裏にあきらかに捨ててある。木のさく。これは白いペンキをぬって部屋の間じきりにした。友達も、いろいろひろっている。)そんな遊びをしながら海まで行くのである。最近の三浦半島の突端は知らないが、当時の海は、やっぱり水が澄んでおり、色がきれい、白や紫色、ピンク、水が流れていく様さま。潮風を浴び、朝陽が昇るのを眺め、(これが実に気持ち良い。)連れていった猫も海で泳がし、ポカンとしたり、今週の予定などそれぞれ話しながら家路についたりしたものである。
 そんな回想にふけりながら、近くの寺の境内でサンシャインビルを見ながら、年末の池袋散歩を終え帰途に着いた。
 
 そういえば、2年ほど前に、大岡山(目黒)に春の大花見大会に行った時、(ここは、やっぱり大酒飲みの寄り合いで面白い。)Kちゃんと一緒に行ったのだが、親方は、私の30年来の友達。後は知った顔が多い。その中で、池袋当時の友達に28年ぶりでバッタリ会った。
 もうみんなベロベロの状態。花見ってスゴイ。桜の花は、ちりぬるを。つまみを7~8種。ざるの中に入れて持っていき、帰りは空っぽ。“よし!次だぁ!”の号令で、今度は、目黒の飲み屋街を闊歩する。
 28年ぶりの友達は新入りらしく猫をかぶっていた。(笑)元気で良かったなし。地方でカレー屋をやっていたがつぶれて東京に戻ってきたという。相変わらず演劇に従事しているという。酔っ払ってつぶやいていた。「若い時は役があったのに今は裏方なんだょ~。」
 他に、カメラで個展やっている人。スペシャルフォトグラファーと「ちまちま撮ってる俺は何で…?何で…?」とつぶやきつつ、奥さんのしゃくを受けていた。
 いでたちは、いろんなかっこうをしている人達、もちろんネクタイなど冠婚葬祭以外はしない人達。酔っ払った勢いでバリバリ言われている。「何か…どこかで会っている子だなぁ。」と思っていて話しかけたら、昔、伊豆に住んでいた時にいろいろ世話をしてくれた友達の子供だった。「なんだ、この間まで毛糸のパンツをはいて保育園に行っていたのに…こんな大きくなっちゃって。」その子は、中年のおじさん達にいっぱい言われている。
 きわめつけ、「男だろ!おまえは何がやりたい?」その子、「俺は家を建てるッ」そのとなりで私が思ったこと。「あー、やっぱあいつの子供だわ。あいつはいつも言っていた。『俺は小屋を立てるッ。』親子だしなー。」まわりの友達の酔っ払ったかけ声は、みんな東京に出てきたばっかりの青年の親がわり的存在なっていたのだ。とても、ホッコリする風景だった。
 第二弾、目黒の街中まちなかの店をほとんど、できあがった特別酔っ払い軍団が貸し切り状態で、また飲み始める。と、となりに坐った、中年おじさんも、「ちらっ!」と顔をのぞき込み「おまえ、うたうたってただろ?」八ヶ岳で…。「へっ?そんな事…あ、20年程前のライヴ?ひよっとして、Bassを弾いてくれたのは、あなたでしたか?」お互い「何でこんな所にいるんだ?」とほとんど同時にユニゾン状態。とたんにYさん、弾丸の様にしゃべりまくり、私は目が点になったまま。理解に苦しんでいた。速聴は苦手。もちろん酔っ払っているしね。
 そこの店の感じは良く、カウンターで弾丸のうにしゃべり続けたYさんは、後で友達の親方にきくと、下戸で一滴も飲まないという人だったそうだ…。「何でまたあんなに飲んだんだろ?」 次回Yさんに会う時は、ライヴステージの上でまた会いたいものだ。(呼んでくれ!)
 店の奥では、子供連れの人達、お絵かき大会花見の時に集まる子供達もとてもかわいい。酔っ払いの面白おじさん達をものともせず芸術活動にいそしんでいる。そこへ… いました。いました。巨匠、ぼうず頭のMちゃん。広島産。どこでも絵をかいている人。
 子供達の中に入り、力強いタッチでクレヨンをあやつる。子供達の「お~っ。」という声、見事なまでの子供達とのマッチング。力作!
 とても飲み屋の中でのこととは思えない。
 たくさんの人の中で、花をめで、酔っ払う時間もなかなか乙なものです。夜も10時をまわった頃。昼間の桜は120年の歴史。
 
 桜吹雪は、日本の心。
 えっちら、おっちら酔っ払い。
 Kちゃん、帰りにコーヒー飲んでこ!
 「うん。」
 つまみのざるが帰りの電車の中で妙にめだっていた様な…
 またまた参加したい花見であります。
 来年は2、3ヶ所 つまみ係で行こうかな?
 そんなこんなの想い出した出来事。
 こんなささやかな事を笑いながら想い出されれば、人との和音も保たれるでしょう。
 年末の気ぜわしい中。
 こんな時だからこそ、みんなの平和を願いつつ。今、ここ。
 
 また今年もよろしくお願い致します。
 今年の桜はどんなでせう?
    楽しみですね!
 
  2009 うしっ!   麻梨

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