No67 yoshi-megu-top No72

お経を読み始めたとたん、
風がでてきてみるみる内に雲と霧を追い払って・・・
                                        川瀬めぐ
 
 2000年10月10日、2年前パパ吉沢の散骨をした富士山5号目に去年に続き行ってきました。
 
 ギャーテーズのリーダーで吉沢氏の葬儀を行って下さった弘願寺の住職で氏の最後の親友でもある角田大龍さんをはじめ、清僧さん、パーカッションの寺ちゃん三上寛さん(ギャーテーズの新しいメンバーであり、吉沢氏とは何度も共演。最後は灰野敬二とのトリオ、片足靴屋で話題になった。)お世話になっている新宿のライブハウス「ウルガ」のオーナー御夫婦、マダム陳、みるも、キムチ、山崎さん、るみこ、ムトさんなどいつもの仲間です。
 
 車で5合目まで登る内にどんどん霧と雲が深く真っ白で小雨もふってきてみんな、今日は何も見えないだろうとあきらめながら山道を登っていき、案の定、散骨をした宝永山はまったく何も見えないありさま。
 しかし、大龍さんと清僧さんがお経を読み始めたとたん、風がでてきてみるみる内に雲と霧を追い払って、青空が見えてきて太陽まででてきて、私達のいる場所だけをてらしだしました。富士山の頂上が雲のカーテンがまさに引かれたように見えてきた時には全員、思わず拍手喝采で「吉沢さーん!」と叫びつづけました。青空のあいだに去年と同じ白い飛行機が飛び、季節はずれの黄色い蝶が遠くからどんどん近付いてきて、目の前まできました。全てが短い間のドラマチックな出来ごとで、私達を感動で包んでくれました。
 心の中の瑣末な事が全て吹っ飛び、本とうに静かになった神聖な一瞬でした。笑いと少しの涙の中、大龍さんは「憎い演出だね」なんて言い、三上さんは「吉沢さん演奏の時もそうだったけど、今度はどうやって皆をあっといわせてやろうかと、わくわくしながら待っていたんだなあ」と言ってくださいました。寛さんのめずらしい音楽的な5本じめで終わりました。
 
 お寺に帰って、外でバーベキュー、大龍さんのこんにゃく作り、山崎さんの蕎麦うち栗、かぼちゃ、きゅうり、おにぎりとたくさんのごちそうとお酒でみんなゆったりと楽しみながら(その頃にはドラムのトシ、ベースのヨーカイ、みねちゃん、トクさん、ヤナセさん、地元の人達も集まってきました)どんどん もりあがっていき 演歌を歌う広順さん、それぞれパーカションをたたいたり、よーかいがベース大爆音で吉沢氏がいつも弾いていたアメージンググレースを演奏していたりで、大さわぎ。 暗くなったら、今度はお寺本堂にはいっていよいよギャーテーズ、三上寛のコンサートでいやが応にももりあがりすぎるくらいもりあがりました。すごかった。息もつけない程、楽しかった。みんな、そこらの太鼓をたたいたり、声をだしたり、踊ったりで。そして、ああこれぞギャーテーズだ!と再確認したのでした。ほんとに吉沢さんは幸せだなと思い、またその生き方でいろんなことを教えてくれた氏に感謝の気持ちでいっぱいになりました。大龍さんが「吉沢さんの言っていたようにわがままな自分を通しているみんながいつまでも仲良くいられますように。」と富士山で祈って下さった言葉を思い出しました。ひとりじゃない、みんな つながっていて、同じ方へ向って歩いているんだなあと実感できた1日でした。ほんとうに勇気をもらいました。
 
 そんなこともあっていろんな人と話せて素晴らしい1日がもりだくさんのうちに終わりました。ギャーテーズのこの狂気に満ちたスピードの渦巻きの中に人をまきこんでいくあり方って、美しかったりバカだったり情けなかったり、大笑いだったり何でもありで体験してみないと絶対わからない不思議世界なんだけどみんなぜひ体験して欲しい!!うそじゃないってわかるから。ほんとだって!!
           

No67 yoshi-megu-top No72