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ちいさかった頃
子供の頃、早く大人になりたいと思っていた。
大人はみんな都合の良いことばっかり云うと思っていた。
「こうしなさい」「ああしなさい」と、
いつもやってはいけないことばかり。
そうなのに点、大人達はとても身勝手で無責任。
子供の気を引こうと甘い言葉をかけてくるくせに、
一寸過ぎる、すっかり言ったことなど忘れている。
「約束が違う」などと言うものなら、
何やら説教めいたことをくどくどい言い始めるから始末に悪い。
チキンと説明されれば子供だって分かることは分かるのにね。
「大人だって子供の頃があったはずだなのに。」
と父や母に食ってかかったこともある。
子供心にこんな大人は嫌いだったが、
早く大人になって
自由になんでもできるようになりたかった。
それからずいぶんと年が過ぎて
中年も後半にさしかかる年になってしまって、
子供の頃の何十倍ものことを知ってしまった。
お陰で「少年のように」とはできなくなってしまった。
でも、子供たちから嫌われる大人にはありたくないと、
今でも思い続けている。
6/21 2005 Mamoru Muto
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