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新しい空気をください。
このままだと私は枯れてしまいます。
と、
奥底から聞こえてくる悲鳴にもにた声。
新鮮な空気と水がなければ一日とて生きて行けません。
お願いです、私に新しい水を注いでください。
今は春。
若葉が一斉に開き、山々を覆いつくし
道という道には、花が咲き乱れる。
季節は春爛漫。
いきとし生きるもの達が
喜びの大合唱をするとき。
しかし、
春の光はここまでは届かない。
色あせた陰画と化してしまった春。
何ものかが外界との同調を邪魔して、
小鳥達の囀りが届かない。
私は新しいものに触れ続けなければ、
生きることが出来ない生きものです。
私はとても弱い生きものです。
新しい水をください。