↑prev next↓
化  粧   それは魔除けから始まった


化粧品の大きな展示会の仕事をしていて、ふと気付いた。
化粧は今も昔も全く変わっていない。
美しさは、二次的な目的ではなく、魔除けが最も重要な目的であると。

古代人は、岩絵具で派手な化粧したり、刺青をしたり、大きな首飾りをしていた。
それは森や山や川に潜む、魔物から身を守るためでした。 自分を魔物に負けないと律するためでした。

なら今の人も、古代人やアフリカの原住民と変らない。変わったのは山や川の魔物ではなく、人間社会に潜む魔物という点です。

家族やごく親しい友達の前では、人々は化粧を気にしない。
仕事や公の席で、不特定多数と接する時、人々は化粧し、外向けの顔を作る。
知らない人々の中には、自分を害するものもいるかもしれない。
だから、化粧という鎧を身につけるのです。

男なら凛々しくする。女なら美しくする。
接する相手に好印象を与え、敵意を抱かせないためというのが、最も大切ことです。
更に重要なのは、化粧することにより、自分自身に喝を入れ、見知らぬ人に会う為に、律することです。

役者や舞台の上に立つ人の化粧は、晴れの特別に日、神々に献げられた舞やお神楽です。魔除けや神へのの感謝を象徴的に演じためです。その為の化粧は必要不可欠となります。

また、よりセクシーに見せる為の、異性を惹きつける為の化粧であるし、アスリートやプロレスラー化粧は、相手を威圧し、強い人間への変身のためです

健康のためと言うことも、魔除けの延長上に発展してきたものです。紫外線対策や肌の健康も、魔物が外からやってきて心身を犯す信仰に由来します。

化粧は魔除けから始まり、その時々の目的に合わせ、自分の外側を変身させることにより、内側をも変身させる道具として、化粧は有りつつているわけです。

2017.5.18 Mamoru Muto
↑prev next↓