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重い目覚め
 
 
重く動かない身体、暗い視界、
私は死んだのかと、死のイメージが過ぎる。
地の底に埋められ動けぬ状態で、
悪意のある他者がいたとしても、何も出来きぬ。
 
 
 
程なく恐怖が現れ、徐々に大きくなり全身覆う。
叫び声にならぬ叫びあげている。
 
仕事がなく路頭に迷うという想いが駆け巡り、
誰も助けてくくれぬ絶望が繰り返し、消えてはやって来る。
 
やっと視界に部屋様子が認識され、
やっと手足を横じらすことに成功したが、
まだまだ絶望の淵を回り続けている。
 
少しは薄らぎはしたが、
死と人生の失格者のイメージが重く付き纏って離れない。
 
 
 
何と長い時間、恐怖と絶望の間を行ったり来たした末、
やっと起き上がることができた。
 
何度もあった。
若い頃もこんな目覚めが、走馬灯のように過去の記憶が甦ってくる。
20代も30代も40代もあった、更に小さな頃も。
 
熱いコーヒーを啜り、やっと生きている自分を確かめた。
私は安全というものの外を巡っていた。
きっと生きている証拠の目覚めと、自分言い聞かせたが、
半日重さは消えなかった。
 
9/28 2010 Mamoru Muto

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