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月に祈る

今日は仲秋の名月、しかもお彼岸。
なのに昼は真夏の太陽が照り付け、
夕方から激しくクマゼミが音の雨を降らす。








夜空には美しい月が昇り、
無数の黄金の矢を放ちはじめた。
更に、北の空には季節を分ける黒雲が
           稲光を伴いにじり寄ってくる。

私はあまりの美しさに、心の内で手を合わせていた。
「もう修羅の私からは卒業したいのです。
             闘い疲れました。」と。


しかし
半時間もすると、冷たい風が蝉の声を止めてしまった。
見上げると、雲が月を覆い隠そうとしている。雨さえ降り始めてきた。

9/25 2010 Mamoru Muto

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