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ほ た る
思いは、天空を飛び交いたいと願っているのに、
小さな虫の光に幸せを感じることぐらいしか出来ない。
傍では奈落が、僕を呑み込もうと大きな口を空けている。
蛍達は、
湿気で数を減らした、天上の星の光と、
奈落の深い闇との中間あたりを、
雌を求めて、夢中で飛び交う。
暗い水辺で無邪気に点滅する彼等も
生存をかけた一生一度の闘い中である。
僕も蛍のように光っているのだらろうか。
夜空の星々のように、強く輝きたいのだが、
その手だては、閉ざされたままである。
それどころか、ちょっとでも努力を怠ったら、
足元はぬかるみ、腕に弦が巻き付き、
僕を奈落の底に引きずり込もうと、待ち構えている。
2010 6 12 Mamoru Muto
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