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センチメンタル おーたむ
 
 
赤や黄色の菊の花が、鮮やかに庭先を染め初め、
昔の勢いを失い、少し色付き始めた木々の葉達。
深まる秋に、ちょっと人恋しくなり、
素敵なあの女ひとに、文ふみなど綴ろうかなと、
郊外のレストランに陣取った。



『 拝啓  ご無沙汰しております。・・・』

どこからか聞こえる「ピッピッピー」という音。

『・・・紅葉の頃となりました。・・・』

携帯の音でもないし、「チョボチョボチョボ」
耳を澄ますと、どうも僕の内側から聞こえてくる。



 入るのはチョボチョボ、
 出るときにはガッポリ、
 だから僕はいつでもピッピッピー。
 そこで、満月の夜には時々、
 ギャオオオーと吠えまくる。


オイオイ、秋もたけなわ、誰もが詩人になる季節だぜ。





 森の中にある静かなレストランの昼下がり。
 今日のダージリン紅茶の味は上々。
 おもむろに書き始めたはいいのだが、
 変な音がじゃまをする。



 「ギャオオオー」じゃないぜ、ここは物の哀れを感じるべき処。
 遠い女ひとに思いを馳せ、文ふみをしたためる刻とき



 入るのはチョボチョボ、
 出るときにはガッポリ、
 だから僕はいつでもピッピッピー。
 そこで、満月の夜には時々、
 ギャオオオーと吠えまくる。



 ちょっと変・チクリンな、センチメンタル おーたむ。


 10/25 2008 Mamoru Muto 

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