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宇宙皇子の肖像


 
 
はるか100光年の時空を超え、
銀河の果て、宇宙のド田舎、地球へ。
やって来たのはいいのだが、
宇宙船は壊れるし、お供のものは皆死ぬし、
瀕死の重傷で生き残った、宇宙皇子。


 
辺境の宇宙の暗い空間に
宝石のように、小さく輝く惑星、地球。
この青い美しい星に住むものたちも
みんな、可憐で美しかった。
ただ「人間」と称する動物以外は。

美しい植物たちの造り出すものをただ食べ、
かわいい動物たちむさぼ食うだけの寄生生物「人間」。
馬鹿で、 間抜けで、アホな、ただ一種類の生物「人間」が、
宝石のこの星を、ただの石塊ころに変えてしまっていた。
 
 
状況は緊迫していた。
ここの惑星の大気に含まれる酸素は、
弱った皇子の肉体をむしばんでいた。
ここままで行けば、生き延びることは難しかった。

その時である。一人のあの寄生生物が近くに寄ってきた。
もう、選択の余地はない。
皇子は回復不可能に部分を捨て、
この生物の中には入り込んだ。

ここに、寄生生物「人間」の中にもう一人の人格、
宇宙で二番目に高貴な「宇宙皇子」が同居するという、
おかしなことなってしまった。

これが「宇宙王子まもちゃん誕生秘話」である。
宇宙歴 41.80.8002 Momo

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