prev next

赤ん坊

 
 おっぱい飲んだら寝る。泣くか寝るか、たまには笑うか。ゆっくり成長すると思われていた赤ん坊に対する見解が、最近の研究で大きく変わった。彼らのうちでは、なにもかも活発に活動し、激しく成長しいるらしい。
 生まれて三ヶ月で歩く本能が目覚め、脳細胞シナプスは、最大で大人の1.5倍まで増加しているという。また、聴覚は、世界中の言語を理解する能力があると言う。たとえば世界に二、三十ある母音の微妙な違いを彼らは明確に区別していることが分かった。まさに彼らは超天才なのです。
 しかし、一度高度に成長したものが、一歳頃から徐々にその能力を失い、通常の成長に移るらしい。言語感覚は、母親の話す言語の母音意外は理解できなくなり、シナプスも減少すると言う。
 
 分かるような気がする。僕らが非常事態に遭遇したとき、アドレナリンが分泌され、脳味噌も筋肉も普通では考えなれない力を発揮する。全神経を張り詰め、現状分析をし、どうすれば危機を回避できるか、脳はフル回転する。そしてその行動に移ろうとする。
 
 赤ん坊にとって、この世界に居ることが非常事態なのです。手でさわり、舌で 舐め、そこで感じて触覚、味覚で安全か異なを分析をする。自分にとって安全なもの、自分を保護してくれる母の匂い、感触が分からなければそれはすぐに死につながる。まさに全ては未知との遭遇なのです。一時間でも早く立って歩かなければ、野性なら他の動物に食べられてしまう。生まれ落ちた途端に、彼らは自分の全能力を使い、生死の闘いをしているのです。
 そして、一年経ち、この世界の様子も大分わかり、それに対応することの自信がついて始めて、非常事態の警報を徐々に解除するのです。必要のない能力を無駄に使うのを止めるのです。そして通常の成長過程に移行するのです。
 
 ほとんどの人はそんな小さい頃のことは覚えていないけど、みんな天才的な能力をかって持っていたのです。大人となり、みんな更に限定的にしか自分の力を使っていない。まだ、眠っているかも知れないよ。貴方の内にあるその天才的な力を、まだ使えるかも知れないよ。・・・・
 
2008 2/19 Mamoru Muto

prev next